【自己破産】免責不許可事由(着物の購入)

女性の方で、着物を多数購入して債務を増加させてしまったというご相談者が結構いらっしゃいます。

仕事や家庭のストレス等で悩んでいた際、知人に誘われて展示会に足を運んだところ、購入しなければ帰れないような雰囲気となって、割賦契約を結んでしまったというのがお決まりのパターンです。その一回限りならば、ある程度被害者だったといえるのかもしれませんが、興味深いのは、その後も自発的に展示会に赴き、複数回にわたり購入してしまっている方がほとんどという点です。

着物の販売会社も手慣れたもので、手を変え品を変え顧客の購買意欲を煽るのでしょうが、どうやら購入した着物を着用した上で参加する「ミス〇〇」といったような自社大会を用意して、購入者本人をエントリーさせ、「その気にさせる」ということもあるようです。「全国大会まで行ったんです」などとおっしゃるご相談者の話しぶりからは、騙されているという認識も希薄であるように思われます。

いずれにせよ、自身の支払能力を超えた割賦契約を締結し高額の着物を購入するという行為は、破産手続においては、免責不許可事由となりえます。購入価額が多額にのぼる場合には、裁判所により破産管財人が選任され、厳しい調査がなされる可能性が否定できません。

さて、当事務所では、ここ1年に限っても、着物購入の浪費があったという案件で神戸地裁に申し立てたものが複数件あります。中には、管財人がつかず、幸いなことに同時廃止で終わった事件もありますが、これは事案によるとしかいえないでしょうね。着物販売業界では、実際、悪質な業者も散見されますので(弁護士会の中でも問題視している業者があります。)、ある程度は裁判所もその旨を理解してくれているという感覚もあります。とはいえ、やはり浪費は浪費なのですから、(金額にもよりますが)原則管財事件になると考えていただいていた方がよいでしょう。

裁判所への申立に際しては、予め査定を取る必要があるのですが、購入した時には数百万円した着物が、二束三文の値しかつかないことがほとんどです。皆さんいたたまれない気持ちになるようです。また、管財事件となった場合には、着物を実際に管財人弁護士の事務所に持って行ったりする必要も生じます。ご主人に内緒で着物を購入しているケースも多いのですが、今後の家計を正常化するためにも、やはりご主人と一度きちんと話をする方がお勧めです(ご主人に内緒で解決できた事件もありますが、これもケース・バイ・ケースです。)。

管財手続になりますと、時間的にも労力的にも大変な事件となりますので、それに耐えられないという方は、自己破産ではなく、個人再生を選択することによって債務を整理される方もいらっしゃいます(任意整理という手段もありますが、専業主婦の方の場合ですと、おそらく困難なケースが多いと思われます。)。

借金問題でお悩みの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)