勾留中の生活

 ●はじめに

 刑事ドラマで、刑事が取調べなど捜査をする場面はよく見かけますが、留置場の場面が出てくることはあまりありません。多くの方にとって、留置場での生活がどのようなものか想像もつかないと思います。そこで、本コラムでは、勾留されてしまった場合、留置場でどのような生活を送ることになるのかについてご説明します。

 もっとも、留置場の運用は各警察署によって異なります。今回は、生田警察署に勾留されてしまったケースを前提にご説明します。

 ※ 本コラムは、情報公開請求により取得した兵庫県生田警察署留置施設管理運営細則を参照して作成しています。

●1日の流れ

 留置場での1日の流れは、以下のとおりです。

起床 午前7時

朝食 午前8時

運動 朝食後から適宜

昼食 正午

夕食 午後6時

就寝 午後9時

 起床から就寝までの間に、取調べを受けたり実況見分のため現場に立会ったりすることもあります。

 生田警察署では、平日は30分程度、運動場に出ることができます。運動場といっても、広さは10畳くらいで、地面はコンクリートですので、ストレッチくらいしかできません。

●飲食

食事の支給

 1日3食の食事が支給されます。食事の際には、お茶又は白湯も支給されます。

 食事の支給時以外に湯茶が支給されるのは、午前10時、午後3時、就寝前(1杯に限る)、就寝中(1杯に限る)のみです。いつでも、湯茶が支給されるわけではないようです。

自弁の食事

 留置場で提供される食事以外に、自分で買った弁当・丼物を食べることができます。ただし、購入した弁当・丼物を食べることができるのは、平日の夕食のみに限られています。 なお、麺類・スープ類の購入は認められていないそうです。

お菓子や飲料の購入

 お菓子や飲料を購入することもできます。 お菓子はチョコレート、菓子パン、スナック菓子を購入することができます。飲料は、紙パック入りのジュースを購入することができます。 購入した菓子類・飲料は、昼食後から夕食まで摂取することができます。

●衛生

入浴

 入浴は週2回(生田警察署の場合は木曜日及び日曜日)に認められています。入浴時間は20分程度で、同時に2名ずつ入浴します。

洗面

 洗顔や歯磨きは、起床時と就寝前にできます。

洗濯

 洗濯は、留置担当官が行います。

調髪

 自費ではありますが、留置場内で散髪をすることもできます。

髭剃り

 髭剃りは、運動時に運動場で使用することができます。  電気カミソリを借りることができます。

その他

 綿棒は、運動時、入浴時に使用が認められます。

●書籍

 書籍は、自身で購入した書籍、差入れられた書籍、備え付けの書籍を閲覧することができます。留置室に持ち込むことができる書籍は、3冊以内です。

●警察署から貸与される物

 寝具、日用品、筆記具、衣類は貸与されます。

 ただし、眼鏡、コンタクトレンズ、衛生用品(歯磨用具、生理用品)、松葉杖、車椅子は貸与されないため、ご自身で購入するか差入れをしてもらう必要があります。

●一般面会

 弁護人との接見は、24時間実施することができ、警察官の立ち合いはなく、接見時間の制限もありません。しかし、弁護人以外との面会(一般面会)の場合は、以下のルールがあります。

面会ができるのは平日の午前10時から午後5時

 ただし入浴時間、昼食時間帯は面会ができません。そのため、正午の時間帯は面会ができない可能が高いです。生田警察署の場合、木曜日が入浴日ですので注意が必要です。

面会の回数は、原則1日1回

 そのため、面会に行かれたとしても、先に面会をした方がいた場合には、その日は面会をすることができません。

面会時間は、1回20分以内

面会者の数は、一度に3人まで

●差入れ

 差入れについては、以下のルールがあります。

受付時間は、平日の午前10時から午後5時

1回に差入れができるのは、着替え3日分、書籍3冊以内、写真3枚以内、日用品若干、現金2万円以内

 書き込みがある書籍は、差入れすることができません。また、書籍の表紙カバーは外すように指示されます。

同一者による差入れは、1日1回まで

原則として、郵送での差入れはできません

 ただし、「やむを得ない事情により留置主任官が認めた場合はこの限りではない」と定められています。遠方から差入れをされる場合には、郵送も認められる可能性がありますので、警察署に電話でお問い合わせいただくのがよろしいかと思います。

※ 差入れができる物品や郵送による差入れが認められるかについては、警察署によって運用が異なります。

●おわりに

 留置場での生活では、様々な制限があり快適といえるような環境ではありません。そのため、弁護士がご家族に対して必要な支援をご説明し、連携しながらサポートをすることが望ましいと考えられます。

(弁護士 山本 祥大)