債務整理で裁判所へ行かなければならないケース

弁護士に依頼して借金問題を解決する場合、「裁判所へ行かなければならないのか」と心配される方がいらっしゃいますので、ご説明しておきましょう。

まず、①任意整理の場合には、裁判所へ行く必要はありません。弁護士が個々の債権者と交渉をして示談をまとめる手続きですので、裁判所はノータッチです。

次に、②自己破産ですが、これには手続きが二種類あります。すなわち、同時廃止事件と異時廃止事件に分かれるのですが、要は簡単な事件と複雑な事件によって手続内容が異なるということです。

複雑な異時廃止の場合、裁判所より破産管財人弁護士が選任されますので、その弁護士の事務所にも行かなければなりませんし、また、債権者集会というものが開かれますので、最低1回(事件によっては複数回)裁判所に行く必要があります。

では、管財人のつかない同時廃止の場合には裁判所に行く必要がないのかというと、必ずしもそうではないのです。

裁判所によっては免責審尋手続というものが開かれ、実際に裁判所に行かなければならない場合があります。神戸地裁では、現在免責審尋というものは開かれていません。しかし、数年前になりますが、同じく神戸地裁管轄の明石支部では、申立人が裁判所に呼ばれて裁判官と面談した記憶があります。おそらくあれは免責審尋だったのでしょうが、その一回限りですね。

大阪地裁の場合には、集団免責審尋というものが開かれますので、裁判所に行く必要があります。これは10人程度の破産者が一つの部屋に集められ、その前に裁判官が座り色々と質問をしてきますので、これに応えないといけません。座学のような形でなされ、破産者の反省を促し、またその反省度合いを確認するという目的もあるのでしょうが、ある意味裁判所は汗を流しているなと思います。もっとも、管財事件の場合、一旦免責審尋の期日が指定はされますが、その後期日取消となり行く必要がなくなる場合もあります。

このように、裁判所によってその運用が大きく異なるという実態があります。

そして③個人再生の場合ですが、これも裁判所に行く必要はありません。個人再生委員が選任されるケースには、同委員(弁護士です。)の事務所に行ったりして対応する必要はありますが、その後裁判所に行くことは想定されていないようです。実際、過去に個人再生手続で裁判所へ行ったことはありません。

さて、裁判所は役所ですので、平日の日中しか開いていません。ですので、場合によってはお仕事に穴が開いてしまうかもしれません。裁判所に行く日程はある程度事前に分かりますので、調整が可能な方もいらっしゃるかと思いますが、裁判所に行く行為自体が負担だと思われる方は、個人再生や任意整理をご検討いただく方がよいかもしれません。また、同時廃止で終わる見込みが高い事件であれば、自己破産でトライしてみるというのでもいいでしょうが、異時廃止への振り分けは最終的には裁判所が決定しますので、必ず同時廃止で事件が進むことの確約は誰もできません。

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(弁護士 中川内 峰幸)