2024/07/05
建設業の一人親方や、運送業のドライバーの方が例として挙げられますが、そういった個人事業主の方からの債務整理のご相談は非常に多いです。
これらの方は、給与所得者でないという点で、特別の配慮が必要となります。といいますのは、サラリーマンであれば給与明細も源泉も出ますので、収入関係が明瞭ですが、個人事業主の場合には、そこらへんの操作ができますので、裁判所に申立をした際、厳格な審理体制がとられることが想定されるのです。
すなわち、自己破産の場合には管財事件に移行する可能性が高まりますし、個人再生の場合にも、事業収益実績表という通常の事件では不要の資料を作成して申立前6か月分の事業実績の資料を提出する必要があります。また、個人再生委員が選任されることもよく見られます。なお、任意整理の場合には、特段給与所得者の方との違いはありません。
それ以外にも、当該事業を今後も継続できるかという点についても考慮が必要です。事業で使用している機材・重機等に高額なものが存在しないというのであれば格別、自由財産の枠を超える機材等があり、それが処分されてしまうと事業を継続できないといった場合には問題となります。また、リース物件等も要チェックですね。個人再生では別除権協定を結んで車両等を残すという手段もよくやります。更には、従業員(下請)がいる場合には、その対応も検討を要します。
このように、個人事業主の場合には、手続きがかなり複雑になります。ですので、「形式上は個人事業主ではあるが、実質上は給与所得者と同視すべきである」との主張をして、サラリーマンと同じ通常の手続きで審理をしてもらう場合があります。
たとえば、美容師の方などは、個人事業主として開業届をなし確定申告をしている方が多いですが、実際の稼働状況としては、雇用主ともいうべき店のオーナーの下で、そこからのみ毎月報酬を得て、同オーナーの指揮監督のもと業務を行っていることが通常です。そういった場合には、実質サラリーマンであり個人事業主にあたらないという形で申立を行い、そのままうまくいくこともよくあります。
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(弁護士 中川内 峰幸)