今すぐ督促を止めたいのですが…

月々の支払が滞ると、債権者からの督促が頻繁になされるようになります。電話やメール(登録している場合)、ハガキや封書などの手段で、入金がないことの通知がなされ、繰り返し支払いを請求されます。このハガキや封書なども、最初は普通の形式及び文面なのですが、その内どんどん派手な表示にエスカレートしていく場合もあります(「警告文」や「訴訟準備通知」などと記載されたり、文字の大きさや色がやたら目に付く表記になったりします。精神的プレッシャーをかけてきているのでしょうね。)。

ご家族に内緒で借入をされている場合には、このようなハガキ等が自宅へ郵送されると、同居人にバレてしまうのではないかと気が気じゃないでしょうし、毎日の携帯の着信履歴を見るだけでさぞかし憂鬱なお気持ちになることでしょう。

このような債権者からの督促は、弁護士に依頼することにより、ピタッと止めることができます。

貸金業法という法律の21条1項9号に、弁護士から貸金業者に受任通知(弁護士介入通知)を送った後は、貸金業者は債務者に対して直接督促をしてはならないという内容が規定されているからです。この受任通知が貸金業者に届いた後は、電話もメールも封書も止まりますし、もちろん直接の訪問による取立ても禁止されます。ですので、お客様方には、このタイミングで一旦ホッと落ち着いていただくことになります。督促を止めたい方は、速やかに弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

ただし、上記貸金業法の規定は、法律の名称のとおり、「貸金業者」のみを対象としております。ですので、個人からの借入や取引先への負債がある場合などは、それらの者は対象の範囲外ということとなりますので、弁護士が入ったからといって、当該法律を根拠として督促を止めることはできません。とはいえ、事実上は弁護士が窓口となりますので、お客様の負担はかなりの部分で軽減されることが多いと思われます。

そしてもう一点注意していただきたいのは、債権者からの督促を止めることはできますが、訴訟を起こすことは止めることができないということです。ですので、弁護士が介入して、通常の債権者であれば半年ぐらいならば待ってくれることが多いですが(自己破産や個人再生の場合、申立準備にそれくらいの時間がかかるということは債権者も知っています。)、その期間を超えたにも関わらず未だ申立に至らない場合には、「もう待てませんわ」ということで、訴訟を提起される確率が高まるということになります。そうしますと、訴状等がご自宅に届きますので、借金につきご家族の知るところとなってしまうかもしれません。また、訴訟を起こされた場合、勝ち目はありませんので(お金を借りて返していない事実は抗いようがありません。)、判決等(「債務名義」といいます。)を取られてしまいます。そして債務名義を取られてしまいますと、次は強制執行がなされるおそれが発生することになります。財産を何もお持ちでないのであればさほど怖れる必要はありませんが、お勤めの場合、給与債権を差し押さえられますと、会社にも知られてしまいますし、生活が直ちに困難となってしまいます。

ですので、弁護士に依頼して督促が止まったからといって安心しきってしまうのではなく、打合せ等をきちんと重ね、債権者より訴訟を起こされる可能性が高まる前に、早期の申立をすることが重要となります。

なお、以上は自己破産や個人再生を念頭に置いたお話でしたが、任意整理の場合にも当てはまる内容です。すなわち、督促を止め、その後短期間で示談を成立させることが重要です。和解までの間の経過利息を取られてしまうともったいないですし、また、債務名義を取られてしまうと、債権者との示談交渉は通常よりも困難となりがちだからです。

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(弁護士 中川内 峰幸)