2024/07/09
裁判所から「支払督促」という書面が届いたとして、慌ててご相談に来られるお客様は結構多いです。
訴訟、裁判、というものであればイメージが湧きやすいでしょうが、支払督促というものは一体何なのかよくわからないという方もいらっしゃるでしょう。あるいは、よくわからないので放置してしまうという方もいらっしゃるかと思われます。実は放置すると危険です。このコラムでは、この支払督促につきご説明しましょう。
平たく言いますと、訴訟よりも簡易な手続で金銭の回収を期待できる手段です。
すなわち、債権者が金銭の支払等を求める場合、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に申立をします。裁判所書記官が債権者の主張に理由があると判断した場合には、この支払督促というものが出され、債務者に送達されます。
一方、債務者は支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをすることができます。この期間に異議の申立てをした場合、支払督促は効力を失い、通常の訴訟手続へと移行します。裁判所からの封筒の中に、督促異議申立書という紙が同封されているかと思いますので、確認してみてください。
上記期間内に債務者が異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、仮執行宣言付支払督促が債務者に送達されます。この仮執行宣言付支払督促に対しても債務者は異議を申立てることができますが、これも同仮執行付支払督促を受領してから2週間という期間制限がありますのでご注意ください。そして、債務者がこの異議を述べずに上記期間が経過すると、債権者は強制執行の申立てが可能となります。
このように、通常の訴訟手続と異なり、債権者は裁判所に行く必要がありません。また、書類審査だけですし、証拠を提出する必要すらありません。そして、裁判官ではなく裁判所書記官という裁判所職員が同手続を担当します。このような簡易な手続ですので、貸金業者等が好んで利用します。上に見たように、債務者側に異議申立の機会が保証されているのも、このような簡易な手続きにより債務名義を取得することが可能であることから、債務者側の手続保証を目してということになります。
したがいまして、支払督促を受け取ったという皆様は、「なんだ支払督促か^^」ではなく、訴状が届いたのと同じぐらいの危機感を持っていただきたいと考えます。最終的に、訴訟による敗訴判決を取られるのと同じ状態となる可能性が高いということです(差押を受けるということです。)。
もっとも、従前より、支払督促と冠した書面を送り付ける詐欺(架空請求)も横行しておりますので、この点も注意が必要です。いずれにせよ、支払督促に限らず、よくわからない書面が届いたという場合には、速やかに弁護士に相談されることをお勧めいたします。
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(弁護士 中川内 峰幸)