【自己破産】詐欺に遭ったのですが…【個人再生】

債務整理をする場合、どのような理由で借金が膨らんだのかという点が非常に重要になります。

浪費やギャンブルといった理由であれば、免責不許可事由ありということになりますので、その金額や態様次第では、自己破産ではなく個人再生をお勧めすることとなります。任意整理の場合には、法的手続と比べてそこまで重要視はしませんが、それでもお客様のバックグラウンドとして必ずお聞きする事項となっています。

さて、「債務増大の理由は何ですか」とご質問したところ、「詐欺に遭ったんです」とおっしゃる方が結構な頻度でいらっしゃいます。詳しくお聞きすると、「ネットで副業の広告を見て申し込んだところ、最初は幾らか報酬が振り込まれたので安心していたのだが、大きな金額を投入したところ(?)、リターンが全くなく数十万を失ってしまった」だとか、あるいは「情報商材に数十万費やしたが効果が全くなかった」等々。

今日ではネット詐欺も、フィッシング詐欺、出会い系詐欺、ワンクリック詐欺、SNS詐欺と、手を変え品を変え様々な種類があるようです。

しかし実は、自己破産や個人再生といった法的手続をするのであれば、これはあまりよい理由ではないのです。ご本人にしてみたら、被害者との感覚がおありかと思われますが、裁判所の考えは異なります。裁判所は、楽して儲けようとする行為(「射幸行為」といいます。)を快く思っていませんし、本当に当該事件が詐欺に当たるとして、仮に返還請求ができるのであれば、それは債務者が詐欺の犯人に対して債権(財産)を有していることにならないかと判断される可能性があります。その場合、破産管財人を選任して返還請求するという話になってしまうと、簡易な手続である同時廃止が利用できなくなりますし、個人再生の場合でも、清算価値に上乗せされる可能性が出てきます。

ネット詐欺に関しては、多くの場合回収が困難ですので、簡単に「財産あり」とはみなされないことが多いとは思われますが、そうだとしても、本当は詐欺に遭っておらず、詐取されたと主張する金員がどこかに隠されているのではないかと裁判所に疑われるおそれもあります。いわゆる財産隠しですね。いずれにせよ、通常とは異なるイレギュラーな事実が顕出される場合には、裁判所はこれを厳しく調査する方向に傾きます。ですので、「詐欺に遭った」という理由は、法的手続との関係では、あまり望ましいものとは言えないのです。

とはいえ、裁判所に対して嘘をつくことは決してできませんので、正直に事実を報告することとなります。具体的にどのような流れで詐欺に遭ったのか、詐取された金員の額及びその原資は何か(借入か、手持ちの資金か、手持ちの資金であればその原資は何か)、返還請求はしたか、警察に相談に行ったか、他の被害者は存在するか、などといった情報を資料とともに整理して上申する必要が出てきます。その結果、同時廃止で済めば幸運ですが、管財事件となればやむをえません。それを回避するのであれば、個人再生や任意整理を検討するということになります。

※ なお、ここで一点申し上げておきます。「詐欺の被害を回復する」と謳うネット広告を見て弁護士に依頼し、結局1円も回収できず、ただ弁護士費用だけが取られたとして問題となっているケースがあります。いわゆるロマンス詐欺に関する二次被害となります。極めて嘆かわしいことですが、非弁提携の弁護士がネット広告を掲載しているようですので、皆様騙されないようにご注意ください。弁護士会の中でも非常に問題視されています。

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(弁護士 中川内 峰幸)