2024/07/11
債務整理には、大きく分けて、①自己破産、②個人再生、③任意整理といったメニューがあります。他にも特定調停だとか、あるいは時効援用や過払金返還請求だとか、借り換えやリスケ、任意売却などなど手法は色々とあるのですが、主に利用されるのが上記①乃至③ですので、本コラムでは、とりあえずこの三つに絞ってお話ししましょう。
ご相談者からお話を伺ったあと、ではどうしましょうかという段になります。「破産は絶対に避けたいです」「少しずつでも払っていきたいです」など、ある程度固まったご希望がお客様の側にあるのであれば、極力そのご意向に沿った形で、実現可能性を検討させていただきます。しかし、お客様もどうすればよいのか全く見当がつかないというケースもあります。心配ありません。そのために弁護士に相談に来られたのですから。
では、そのような際の指針につき考えてみましょう。ポイントは、何を最重要視するのかという観点です。
まず、債務の額です。これが大きくなり過ぎているのであれば、任意整理は事実上選択肢から外れます。分割での支払が不可能だからです。
次に、守るべき資産があるかです。具体的には不動産ですが、マイホームをお持ちで今後も住み続けたいというご希望があるのでしたら、自己破産はできません。個人再生ということになるでしょう。なお、住宅を手放してもよいということでしたら、任意売却を経た上で自己破産(か、残債務額次第では任意整理もありえます。)ということになります。
あるいは、知人(あるいは会社など)に知られたくないということを重視するのであれば、任意整理を検討することになります。知人からの借入がある場合には、自己破産や個人再生を利用すると、当該知人にバレてしまいます。また、同居の家族がいて生計を一にしている場合には、家計収支や居住証明等の作成につき協力が必要ですので、家族に話をしなければ手続が困難です。そのような場合には、任意整理ということになります。
また、免責不許可事由の有無・程度という観点も必要です。少しならばよいのですが、免責不許可事由(たとえばギャンブルや浪費です。)がかなり大きいという場合には、自己破産を申立てると破産管財人が選任される可能性が高まります(時間的・労力的・経済的負担が増します。)。それでもよいというのであれば自己破産でよいのですが、これを避けたいというのであれば、個人再生や任意整理を選択することとなります。
他には、収入というポイントもありますね。一定の収入があるのであれば、任意整理や個人再生も現実的ですが、収入が低い方や無職の方などは、破産を選択するしかないでしょう。なお、その場合は生活保護の申請を検討しなければならない場合がありますのでご留意ください。
更には、資格制限の観点も必要でしょう。一定のご職業にお就きの方は、自己破産により資格制限を課せられます。あるいは、これは法律による資格制限ではないのですが、公務員の方は自己破産を回避したいというご意向が強いという傾向もございます。
まだまだあります。事業をされているか、あるいは給与所得者なのかによっても手続は変わってくるでしょう。当該事業が継続できるのかそれとも廃業するのかによっても枝分かれします。
また、ご本人やご親族のお考えで、自己破産はどうしても避けたいなどという方もいらっしゃるでしょう。ただし、法律が認めている手続なのですから、破産を避けたいというお考えに固執していつまでも経済的苦境から脱出できないというのはナンセンスではないかと考えます。
他にも検討のポイントは様々なものがありますので、列挙してもキリがありません。そして、これら事情も独立して存在しているのではなく、複合的に組み合わさってお客様それぞれの現状というものが作出されているわけです。ですので、通り一遍等にあなたは破産、あなたは再生、などと簡単に振り分けられるわけではありません。
当事務所では、お客様それぞれの置かれた具体的な状況に則して、どの手続が最も適当であるかをご提案させていただきます。一人として同じご事情をお持ちの方はいらっしゃいません。いうなれば、オーダーメイドで法律相談を実施させていただいております。手続きの強引な押しつけは一切いたしません。最終的にはお客様のご意向を尊重させていただいております(とはいえ、収入がゼロなのに任意整理をしたいというようなご要望に関しては、無理なものは無理なのですから、それが無理である理由を丁寧にご説明差し上げますね。)。
自分のケースではどの手続がよいのだろうとお悩みの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。
(弁護士 中川内 峰幸)