2024/07/18
債務整理事件につき、全国に向けて広告を打っている法律事務所や司法書士事務所があります。そのほとんどが信頼できる事務所だと思いますが、中には問題のある事務所もありますので、ここで注意喚起させていただきます。
「ネット等で債務整理の広告を見て電話したところ、任意整理を勧められてそのまま契約してしまった」というお客様がよくいらっしゃいます。結果、支払いができなくなって当事務所にご相談に来られるのですが、お話を聞くと、弁護士に会ったこともなく、最初の電話だけで契約してしまったとのこと。電話口の人物が弁護士であったかも不明です。そして事件の内容的にも、債務額が大きく、そもそも最初から任意整理で受任するのは無理な話で、自己破産や個人再生を選択するのが適当ではないかと思われる事案も多いのです。
これは非弁かもしれません。非弁というのは、文字通り「弁護士に非ず」ということで、弁護士資格を持っている者しか取り扱えない行為を弁護士資格のない者が行う行為で、これはなんと犯罪なのです。
弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所という弁護士法人は、非弁業者と提携して、同業者に対して自己の名義を利用させ、電話での各事件に関する相談対応、処理方針や弁護士費用の決定、契約書案の作成、和解交渉などを行わせたとして除名されました。依頼者からの預り金数十億円を不正に流用したとして大きくニュースでも取り上げられましたので、記憶に残っている方もいらっしゃるかもしれません。消費者金融OBの人物に事務所を乗っ取られていたのではないかという報道もありました。
このような問題を防止すべく、日弁連は、債務整理事件を受任する際に弁護士の面談義務を課しております。
すなわち、債務整理事件を受任する際には、
① 弁護士は必ず依頼者と面談し、債務の内容や債務者の生活内容等を聞き取りしなければならず、オンラインツール等(電話、メール、Zoom等)で打ち合わせをしたとしても、面談義務を果たしたことになりません。面談は直接面談を指し、画面上で顔を見ながらであっても、面談にはあたりません。
② 面談ができない「特段の事情」がある場合には、とりあえずは適当な手段で聞き取り等を行うこととなるのでしょうが、その場合でも面談義務が免除されるわけではなく、「特段の事情」がやんだ後には速やかに面談をしなければなりません。
③ そして、「特段の事情」とは、面談することが困難な客観的事情を意味し、単に「オンラインでの打ち合わせが便利だから」という理由や、「依頼者が遠方に居住しているから」といった理由では、「特段の事情」にあたりません。
つまり、電話やWEBだけで債務整理を受任してくれる法律事務所はこれら規定に明らかに違反しており、それだけで極めて怪しいのです。なお、電話で受任した後しばらくして、弁護士が出張してきて面談するというケースもあるようですが、これが単なる直接面談の既成事実を作出するための顔合わせに過ぎないのであれば、上記規定の潜脱行為であろうと考えられます。
結論としては、電話やLINEやZoomやSkypeだけで依頼できる法律事務所は危険なので避けた方がよいということです。電話やメール1本で解決できるような広告は、ご依頼者にとっては耳障りがよいのかもしれませんが、はっきり申し上げて、危ないので避ける方が賢明です。
当事務所では、必ず弁護士が直接面談を行い、たっぷりと時間をとって、詳しくお客様のお話をお聞きいたします。そうしなければ適切な解決手法を検討することが不可能ですし、お客様のご質問にきちんとお答えすることもできません。ご不安に思われていることは全て弁護士に対して直接ご質問ください。
以上の理由から、当事務所では、債務整理事件に関しては、直接お越しになれる範囲にお住いの方々からのご相談以外はお受けすることができないのです。この点、何卒ご了承いただければ幸いでございます。詳しくは、下のバナーをクリックください。
(弁護士 中川内 峰幸)