2024/08/05
皆様ネットで弁護士を探す時代だと思います。例えば離婚問題をお抱えの方がネットで弁護士を探す際、決まって「離婚に強い弁護士」や「離婚問題に強い弁護士」などというキャッチフレーズが表示されるということにお気づきでしょうか? 別に離婚に限らず、相続でも債務でもよいのですが、「●●問題に強い弁護士」という表記をする法律事務所や各種ポータルサイトが目に付きます。これには次のような理由がございます。
もともと弁護士は広告が規制されていたのですが、平成12年にこれが解禁となり自由化されました。ただし、日弁連の指針では、今日に至るまで、「専門」という言葉を使用してはならないということになっています。弁護士が特定の分野につき専門性をうたう場合、その分野において経験が豊富で能力が優れているということが期待されますが、これらにつき客観的に判断する基準がないにもかかわらず専門性表示を許すとなると、「自称専門家」が巷に溢れ、お客様にとって誤導の弊害が発生するおそれがあるという理由から、「専門」という表記が禁止されているのです。これには一理あると考えます。弁護士に成りたての一年目が「●●専門」と掲げていたとしても、当該弁護士の期を知らないお客様にとっては、「専門でやられているのであれば、実績豊富なのだろう」となりかねません。
広告というものは、ある種、顧客誘引のために耳障りのよい表記をするものなのであり、仮に「表示に偽りあり」ということになれば顧客が離れて淘汰されるというのが自然競争というものなのかもしれませんが、その過程でお客様が損害を被ってしまっては大変です。そういう次第で、「専門」という表記はできないということになっています。
そこで、冒頭の話に戻りますが、「専門」が使えない以上、他に何かよいキャッチフレーズはないか、と考えるわけです。「●●の取り扱いがある弁護士」という表記はOKです。能力や実績を強調していないからです。しかし何だかキャッチフレーズとしては弱いですね。「●●に関心のある弁護士」もOKです。弁護士の内心を記しているだけだからです。しかし訴求力はやはり弱いですね。
というわけで編み出された表記が、「●●問題に強い弁護士」です。しかし、これはいいのでしょうか? 「強い」という表現は抽象的ですし、また強いか強くないかは「専門」同様、客観的に判断する基準がないのではないでしょうか? よくわかりませんね。
当事務所では、そこらへんに関する疑問を有していますので、「●●問題に強い弁護士」という表記をすることには抵抗があります。ですので、「●●のご相談を多数頂戴しております」「●●問題につき多数取り扱っております」という「事実」の記載をするよう心がけております。
たとえば、離婚・男女問題に関しても、おかげさまで皆様方より多数のご相談を頂戴しております。お困りの方は、下のバナーをクリックして、詳しく記載されたページをご覧ください。
(弁護士 中川内 峰幸)