2024/08/06
神戸のシャローム綜合法律事務所では、離婚や男女問題に関するご相談も多数頂戴しております。
表題の保護命令に関してお話しましょう。
DVは、もちろん被害者が女性の場合が多いのですが、男性が被害者という場合も、実は珍しくありません。被害者が女性であれ男性であれ、パートナーからDVを受けたという方は、即刻警察に相談し、可能であれば親族やご友人宅など安全な場所に避難してください。そのような場所がない場合には、シェルターもございます。また、ケガをした場合には病院に行って治療を受け、後々のために診断書や画像などの証拠も残しておいてください。
DV防止法に基づく保護命令というものもあります。それを弁護士に相談されるのもありかもしれませんね。
保護命令の内容としては、以下の5種類があります。
① 被害者への接近禁止命令
② 退去命令
③ 被害者への面会要求、電話等、特定の行為を禁止する命令
④ 被害者の未成年の子への接近禁止命令
⑤ 被害者の親族等への接近禁止命令
このような保護命令により、被害者は加害者からのDVを防止することが可能となります。
この申立てがなされると、裁判所は迅速に動きます。生命身体に危害が及ぶ危険がある状況ということですので、緊急性が要求されるということですね。大体ですが、2週間ほどで発令されることが多いのではないでしょうか(以前私が、申し立てられた側の代理人となり強硬に争った事件では、発令までに一月半というものがありました。)。
保護命令に違反した者には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課されます。
このように実効性が高い保護命令ですが、問題点もございます。
DV冤罪、冤罪DV、でっちあげDV、などという言葉を聞いたことのある方はいらっしゃるでしょうか。
文字通りですのでお分かりだと思いますが、後日の離婚調停等において、離婚条件を自らに有利に運ぶべく、濫用的な保護命令の申立てをするケースが散見されます。上で少し触れました事件でも、こちら側としては濫用的な申立ではないかという確信がありましたので争ったのですが、残念ながら裁判所は保護命令を発令してしまいました。被害者を一刻も早くDVから守らねばならないという緊急性が要請されることから、裁判所も訴訟のような厳格な手続をとりません。即時抗告も行い大阪高裁で争いましたが、最終的には結論は変わらずということになりました。
保護命令は、被害者の生命・身体を守るためには極めて重要な制度です。それだけに、上にお話ししたような濫用的な利用をすることは、決して許せません。しかし、こういったDV冤罪が少なくないというのが実務の現状であり、大きな問題であると考えます。
このように、当事務所では、保護命令を申立てたいという方のみならず、保護命令を申立てられたという方からのご相談もお待ちしております。お困りの方は、シャローム綜合法律事務所までお問い合わせください。詳しくは、下のバナーをクリックください。
(弁護士 中川内 峰幸)