【残業代請求 運送業の待機時間(手待ち時間)について】

 1 はじめに

 トラック運転手など運送業の場合には、荷先ないし集荷先との関係で、配送時間が決められていたり、他のトラックの順番待ちなどにより現場付近で待機したりすることがあります。この待機時間は、労働時間として認められるのでしょうか?

2 労働時間とは

 判例によると、労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいいます(最判平成12.3.9労判778号11頁)。

 「指揮命令下に置かれている」という意味はイメージしがたいと思いますが、判例では、「当該時間に労働者が労働から離れることを保障されて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる」とされています(最判平成14.2.28労判822号5頁)。

3 判断のポイント

 運送業の待機時間が労働時間と認められるかについても、使用者からの指示があれば直ちに業務に従事しないといけないのか、労働から解放されているといえるかがポイントとなります。

 具体的には、以下の事情などがポイントとなります。

 ・配送、集荷の時間指定の有無

 ・待機時間の長さ

 ・配送物の種類(運転手が荷物を監視する必要があるものか)

 ・待機している場所(コンビニか路上なのか)

 ・呼び出しや連絡があれば対応する必要があるか否か

 ・待機時間に何をしていたのか

4 おわりに

 運送業は、労働時間が長時間となりやすい業種といえます。

 残業代請求についてお悩みの方は、シャローム綜合法律事務所にご相談ください。

(弁護士 山本祥大)