任意整理ができない場合とは

借金問題にお困りの方の中には、自己破産や個人再生といった手続きではなく、任意整理で少しずつでも返済して行きたいと思われる方もいらっしゃるでしょう。自己破産や個人再生の場合、同居の家族に知られてしまう可能性が高まりますが、任意整理でしたら、人知れずこっそりと債務整理ができる可能性もありますので、そういった意味でも任意整理をご希望のご相談者は結構おられます。

しかし、残念ながら、全ての場合に任意整理ができるというわけではありません。というのは、任意整理は裁判所を使う手続きではなく、弁護士が債権者と個々に交渉をして和解契約を締結するという手続きです。したがいまして、相手方のあることですので、「絶対にこの回数で、この金額で」、ということはお約束できないことになります。

その上で、そもそもはなから任意整理に応じない業者というものが存在します。その多くは、みなし貸金業者といって、現在は貸金業の登録をしておらず、既存の貸付金の回収のみを行っている会社です。一括返済でなければダメだ、と言って譲歩の余地がありません。例えばギルド(旧ハッピークレジット、旧トライト、旧ヴァラモス)などは有名ですね。

また、いわゆる街金と呼ばれる中小規模の業者も、厳しい態度で出てくることが比較的多いと言えます。任意整理に応じないとまではいかなくても、通常の業者よりも和解条件を厳しく提示してくることが多いといえます。この「厳しい」というのは、通常60回での返済に応じる業者が多いところ、これを48回だとか36回といった短期間での返済計画を求めてくるということです。あるいは、「将来利息を乗せろ」という要求をしてくることもあります。ということは、月々の支払額が高くなり、現実問題として弁済費用を捻出できないといった状態に陥ることになり得るということです。

さて、上に見たような属性の業者ではなく、大手の貸金業者であれば間違いなく任意整理ができるかというと、実はそうでもないのです。例えば、アコムやライフカードといった社名は、皆様よく耳にされていると思いますが、任意整理に関しては厳しい対応をしてくる業者です。CM等で親しみやすい雰囲気があることから利用される方も多いでしょうが、返済の際には決してやさしくありません。

また、通常であれば積極的に和解に応じてくれる業者であっても、「通常でない場合」、例えば取引期間が1年程度と短い場合などは、任意整理の和解をまとめることが極めて困難となります。もう1点、換金行為をしている場合も、業者によっては和解に応じてくれないケースが出てきます。例えば、ペイディを利用してアップル製品を購入する方は多いのですが、購入したそのiPhoneだかアップルウォッチだかを既に転売してしまっている場合、同社は途端に厳しい態度となり、任意整理の交渉に一切応じてくれません。

このように、諸々の事情から任意整理ができない場合というものがございます。そして、債権者側の事情とは別問題で、そもそも借金の総額が大きいことから、単純に月々の手取り額から弁済にあてる金額を確保できないという場合もあるでしょう。さらに付け加えるならば、生活保護を受給されている方は任意整理ができません。保護費はその名のとおり生活のための費用です。保護費を借金の返済費用にあてると、場合によっては保護取消となるかもしれませんので、注意が必要です。

以上のように任意整理ができないといった場合には、自己破産や個人再生といった裁判所を使う法的手続の可否を検討することになります。

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(弁護士 中川内 峰幸)