2024/07/01
自己破産のご相談をお受けする際、よく「家族に迷惑がかからないでしょうか…」といったご質問をいただきます。ご不安に思われるお気持ちはよくわかります。本コラムでは、この点につきご説明しましょう。
何をもって「迷惑」と考えるかにもよりますが、まずご家族と同居の場合、家計収支や居住証明の作成に協力してもらう場合がありますので、その手間を迷惑だというのであれば、迷惑かもしれません。また、ご家族の住民票や所得証明等も必要となりますが、これはご依頼者が単独で取れますので、ご家族にとってご負担はないでしょう。
では、より深刻なケースをご説明しましょう。ご依頼者が不動産をお持ちで、その共有者にご家族が名を連ねていらっしゃる場合、当該不動産を処分する必要が生じます。あらかじめ任意売却をせずに申立を行った場合、破産管財人が申立人の持分を処分することになりますが、共有者がいる物件の購入を希望する買い手はなかなか見つかりませんので、通常は共有者であるご家族に買取を打診することになります。実勢価格よりも安価な金額で合意に至ることも多いかと思いますが、ご家族に現実の出捐が要請されますので、これは迷惑がかかると言えるでしょう。
また、時々あるのですが、ご主人(申立人)が大きな金額を奥様の口座に移しているケースがあります。賞与であることが多いですね。これは財産隠しではないかということで、破産管財人より奥様に対して返還請求がなされる可能性があります。奥様は当該ボーナスを種々の支払いに充てることを予定して家計を管理していたのでしょうから、突然破産管財人よりそれを返せと言われても寝耳に水です。夫婦仲が決裂するケースも少なくありません。
あるいは、自由財産の範囲内に収まらない金額のご主人名義で積み立てている学資保険の帰趨なども、ご家族にとって深刻な問題となりえます。
同様に、成人しているお子さんの生活費や高額な学費等を申立人が負担している場合も、破産管財人よりお子さんに対して返還請求がなされることがあります。
また、これは自己破産に限った話ではありませんが、ご家族が保証人になっている場合、当該債務につき整理をすると、債権者よりご家族に対して一括請求がなされます。
以上のような場合、ご家族に迷惑がかかる可能性があると言えるでしょう。
それを避けるためには、自己破産ではなく、個人再生や任意整理を検討することになります(上の保証債務のケースでは任意整理ですね。)。
借金問題でお悩みの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。
(弁護士 中川内 峰幸)