2024/07/03
自己破産に抵抗がある、あるいは諸々の事情から破産ができない、かといって任意整理では弁済が現実問題として不可能だという方は、個人再生手続に興味をお持ちかと思われます。
そして、個人再生を利用した場合に、結局のところ今後幾ら支払えば、この借金問題から解放されるのかと思い、ネットなどで検索すると、「清算価値」という法律用語に出くわすことと思われます。本トピックでは、この清算価値(せいさんかち)についてご説明しましょう。
平たく言いますと、清算価値とは、申立人が保有している財産のことです。仮に申立人が自己破産をする場合には、手放すこととなる財産の額と言い換えることもできるでしょう。
そして、個人再生手続においては、「清算価値保障原則」というものがあります。なんだか難しそうですが、これはどういうことかと言いますと、個人再生をした場合には、少なくとも清算価値以上の金額は支払わなければならないという原則のことです。
一般に、個人再生手続は借金が原則5分の1まで減る(借金の額によっては10分の1。また、最低額は100万円です。)という説明は既にチェックされていますでしょうか。その5分の1になった金額よりも、清算価値の方が多い場合、その清算価値の金額が基準となって、当該金額を、3年乃至5年で返済していくということになります。
ですので、申立にあたっては、裁判所に対して財産目録を提出し、申立人の清算価値がいくらなのかを申述する必要があります。
実務では、清算価値算出シートというものに埋めていく方法で、申立人の清算価値を計上することとなるのですが、参考までにその内訳をご紹介しておきましょう。ご自身の清算価値を算出するための参考になさってください。
1 現金(99万円を控除した額)
2 預貯金(相殺等により控除後の残高)
3 保険解約返戻金(相殺される額等を控除した残額)
4 積立金等(積立金等を担保とした貸付金がある場合は、その金額を控除した残額)
5 賃借保証金・敷金(敷金は返戻金から60万円を控除した残額)
6 貸付金・求償金等(回収見込額)
7 売掛金等(回収見込額)
8 退職金(見込額の8分の1)
9 不動産(不動産の時価から5%の金額を控除し、そこから被担保債権残額を控除した残額)
10 自動車等(所有権留保がされている場合は、時価からローン残額を控除した額)
11 その他動産(時価が20万円以上のもの)
12 その他の債権(過払金については回収額あるいは回収予定額)
13 その他(株券、会員権等20万円以上の価値があるもの等)
これらが清算価値として通常列挙される内容となります。逆に言えば、これらについての資料の提出が要求されるということになりますね。なお、偏頗弁済をした場合などは、これを13のその他として計上しなければならないこととなるケースがありますのでご注意ください。
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(弁護士 中川内 峰幸)