2024/07/22
老若男女問わず、浪費を原因として借金が膨れ上がるケースは、よく目にするところです。
男性の場合には、車やバイク、PC、ゴルフといった趣味に起因する浪費が多いですね。女性の場合には、靴やお洋服、貴金属の購入がよく見られますが、あまり高いものではなく、比較的安価なものを数多く買う方が多いという実感があります。その他にも、旅行に頻繁に行かれるだとか、あるいは外食の頻度が多いなど、交友関係に起因して多く費消してしまう方も少なくありません。部下を食事に連れて行った際に見栄を張って全額支払うという慣習がやめられなかったというのも、交友関係の部類ですね。最近では「推し活」の遠征費で借入が膨らんだという方もチラホラ。男女区別なく、美容整形やエステ関連に多額の出費をしてしまう方もいますが、これも浪費でしょうね。
ところが、「何か浪費しましたか?」とお聞きしても「特に何も購入してないんですが…」と困った感じで言われる方も珍しくありません。特定の大きな買い物をしたわけではないのにも関わらず、債務額が増加しているといったケースも多く、その場合には、普段の生活の中で無意識下に浪費の傾向があるのではないかと考えられます。夫婦二馬力で生活していたところ、奥様が産休に入り世帯収入が減少したにもかかわらず、生活水準が抑えられなかったことにより借入が膨らんだという場合も、収入に見合った生活ができなかったという意味で、浪費と判断される場合があります。
ゲーム課金なども、ギャンブルとの境界はあいまいとなりますが、浪費にカテゴライズされる場合もあるでしょう。もっとも、浪費もギャンブルも免責不許可事由であることに変わりはありませんので、両者の区別の実益は乏しいでしょう。ネット漫画の購入も浪費になり得ます。
なぜ浪費をしてしまうのでしょうか。
手元にある金銭だけで必要なものを購入するといった単純な世界であれば、浪費をしようにもできないはずなのですが、現代社会においては、手持ち資金がなくても商品やサービスを購入することが実に容易です。そして、クレジットカード決済や各種Pay払いなど、後払い決済が信用の付与を受けているのだということを理解せずに利用している方が実に多いのです。借金をしている自覚が乏しいままに物や役務を購入できるシステムが完備されており、かつ、同自覚を最小限化させることが利用者増のカギであるわけですから、親切に「これは借金ですよ」と注意喚起などしてくれるはずもありません。ですので、利用者にとっては、利用時に一見して借金との自覚が芽生えないとしても不思議ではないと思われます。また、スマホでポチるだけでそのような決済が完了する簡便さも、浪費に拍車をかける一要因だと思われます。そういったシステムを提供して利益を上げている関連業界にも問題があるのではないかと指摘したくなるところです。
とはいえ、第一義的には浪費をしてしまった本人に問題があるわけですから、その責任を他者に全面的に転嫁することはできません。自己破産や個人再生の手続においても、免責を得るためには、真摯に反省しているということを裁判所に分かってもらう必要があります。
なお、これは任意整理の場合には反省する必要がないという趣旨ではありません。浪費を何度も繰り返してしまい後悔されている方はたくさんいらっしゃいます。自らの行為を見つめなおし、何が問題で浪費に走ってしまったのかを突き止め、その問題点を解消する作業をしなければ、同じことを再度繰り返してしまうでしょう。その意味では、浪費癖に関する分析は極めて重要です。仕事や家庭でのストレスが浪費の引き金となっている方も実に多いですね。当事務所では、そのような自己分析のお手伝いもさせていただきます。
借金問題でお困りの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。
(弁護士 中川内 峰幸)