「M&A仲介手数料の総額、買い手と売り手へ説明を義務付け」(読売新聞)

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読売新聞電子版の記事です。

M&A仲介手数料の総額、買い手と売り手へ説明を義務付け…高額請求トラブル防ぐ狙いで業界団体 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

M&A仲介協会が、9月に自主規制ルールを改定するとのことです。記事によりますと、契約時に買主と売主から受け取る仲介手数料の支払時期、算定の根拠、最低額などを示すことを義務付け、契約後に増額する場合には、事前に理由を説明することを求めるとのことです。情報開示が不十分な業者については、社名の公表や除名を検討するようです。

そして、「相手方から受け取る手数料の説明もさせるのは、一方の当事者を優遇したり、手数料が高額になったりするのを防ぐ狙いがある」とのことです。

・・・これで問題が幾らか解決するのでしょうか? M&A仲介業者の問題点は多数ありますが、両手取引の双方より受け取る手数料を、売主・買主に知らせることにより、高額な請求に抑止がかかるという趣旨なのでしょうか? あまり実効性があるように思えませんが。

また、リピーターとなる可能性がある買主側の優遇という問題に関していえば、バリュエーション(企業価値算定)の場面で問題が顕在化することが多いことから、これを防ぐためには、やはり売主側においてもきちんとバリュエーションを行い自衛する(そして折り合いが合わない場合には、勇気ある撤退をする)ということが必要になろうかと考えます。

いずれにせよ、今秋のガイドライン改定に先立ち、M&A仲介協会が自主規制ルールを改定してその自治権を守る姿勢を見せたというところでしょうか。引き続き動向に注意が必要です。

(弁護士 中川内 峰幸)