【残業代の計算(概算)方法】

1 はじめに

 従業員が、1日8時間、週40時間を超えて労働した場合、残業代を請求することができます。しかし、世の中では「サービス残業」という言葉があるように、会社が従業員に対して適正な残業代を支払っていないことが多く見受けられます。

 今回のコラムでは、直ぐに確認できる残業代の計算(概算)方法についてご紹介します。

2 残業代の計算方法

 残業代は、以下の計算式によって算出することができます。

  [ 残業時間= 時間単価 × 残業した時間 × 割増率 ]

  「時間単価」とは、残業代計算の基礎となる1時間当たりの賃金のことです。

 時間単価は、以下の計算式で算出します。

  [ 時間単価= 月の賃金 ÷ 月所定労働時間(173.8時間) ]

  ※月所定労働時間は事案によって異なりますが、173.8時間が上限の月所定労働時間となります。

 残業時間は、1日8時間・週40時間を超えて労働した時間をいいます。

 割増率は、以下のとおりです。

  1日8時間、1週間40時間を超えたとき:25%増し

  法定時間外労働が1か月60時間を超えたとき:50%増し

  法定休日に勤務したとき:35%増し

  深夜(22時~5時)に勤務したとき:25%増し

  ※休日労働の場合は、1日8時間、1週間40時間を超えたとしても35%増しのままとなります(深夜割増は適用されます)。

3 おわりに

 残業代の計算方法についてご説明しましたが、あくまで概算です。

 また、残業代請求では、労働時間や賃金単価、固定残業代の有無など、争点となり得 るポイントが多くあります。残業代でお悩みの方は、シャローム綜合法律事務所にご相 談ください。

(弁護士 山本祥大)