M&A仲介「悪質な買い手」情報共有へ 業界団体が10月に運用開始(朝日新聞)

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藤田知也記者の表題の記事に触れました。

M&A仲介「悪質な買い手」情報共有へ 業界団体が10月に運用開始:朝日新聞デジタル (asahi.com)

業界団体であるM&A仲介協会が、悪質な買い手企業を登録する特定事業者リストを策定し、協会内で共有するとのことです。登録された買い手との取引までは禁止しないということですが、同リストに載ってしまえば信用を失い、同買い手企業は、以後M&Aができなくなるということらしいです。

残念ながら、効果薄でしょう。他の会社を新設して買い手となればいくらでもかいくぐれるだけの話です。役員も同リストに載せるのかは、同記事からは不明ですが、隠れ蓑として第三者を就任させればよいだけです。実際、ルシアンホールディングスの件も、関連会社を噛ませて取引している案件があるわけですし、私が相談を受けている事件でも、子会社を噛ませたりして本丸は前面に出てこないようにしているケースがあります。

債務整理におけるCICやJICC、KSCといったブラックリストとは異なり、実に簡単な抜け穴があるこのリストは、とても実効性があるようには思えませんが、そこには、何かしら対策を講じているという姿勢を示さなければならないという業界団体側の思惑があるのでしょう。

M&Aトラブルのご相談は、シャローム綜合法律事務所までお問い合わせください。

(弁護士 中川内 峰幸)