2024/09/07
1 労働審判とは
労働審判は、労働者と事業主(会社)の間で生じる民事に関する紛争を、原則3回の期日で、事件の審理(事実関係についてそれぞれが主張)、調停(話し合いによる解決)、労働審判(話し合いで解決できない場合に、労働審判委員会が判断するもの)を行う手続きこのことをいいます。具体的には、解雇、未払い賃金など、労働関係のトラブルが対象となります。
労働審判は、裁判官と労働者側・使用者側から選任される労働審判員2名の合計3名によって構成されます。
2 労働審判のメリット
⑴ 迅速な解決
労働審判の最大のメリットは、その迅速さです。通常の裁判が数か月から数年かかるのに対し、労働審判は通常3回以内の審理(3カ月程度)で終結します。これにより、紛争が長引くことによる負担を軽減することができます。
⑵ 第1回の労働審判期日では、しっかり議論する
第1回目の労働審判期日では、労働者と会社の担当者・取締役などが出席し、裁判官・労働審判委員が事実関係の確認をします。会社側の違法性が認められるような事案では、裁判官から会社の担当者に対して厳しい質問や指摘がされることもあります。
⑶ 柔軟な解決が可能
労働審判では、単に法的な結論を出すだけでなく、当事者の意向を踏まえた柔軟な解決ができる可能性があります。審判員が仲介に入り、和解による解決を促すため、双方が納得のいく形で問題を解決できる可能性が高まります。
3 労働審判のデメリット
⑴ 訴訟移行のリスク
労働審判の結果に不服がある場合、審判が出てから2週間以内に当事者の一方から異議が出されると、審判の効力は失効し、通常訴訟に移行します。そのため、最終的に解決に至るまでの期間が長引くことがあります。
⑵ 複雑な事案には不向き
労働審判は、迅速かつ簡便な手続きを目的としているため、複雑な事案や証拠が多岐にわたるケースには不向きです。こうした場合、十分な審理が行われない可能性があり、最適な解決が得られないことがあります。
4 おわりに
労働問題の解決方法は、交渉・労働審判・訴訟など複数の手段があります。
労働問題でお困りの方は、シャローム綜合法律事務所にご相談ください。
(弁護士 山本祥大)