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地銀にM&A仲介の能力があるのか

地銀にM&A仲介の能力があるのか

いささか過激な見出しとなってしまいました。趣旨は次のとおりです。

時事通信の記事を目にしました。以下引用ですが、「金融庁は27日、金融機関に対し顧客企業のM&A(合併・買収)支援に積極的に取り組むことを求める監督指針の改正案を示した。地銀などを念頭に、金融機関がコンサルティング機能を発揮し、後継者不足に悩む中小企業のM&Aを後押しすることを狙う。意見公募を経て今秋にも正式決定する。」とのことです。日経でも同旨の記事があったかと思います。

地銀が日常的に地元中小企業の経営問題に接していることから適任だとの発想だとすると、これは安直だと言わざるを得ないと考えます。

過去に私が携わったM&Aトラブルの訴訟において、とある地銀が仲介をしていた案件がありました。内容はご紹介できませんが、実に杜撰な業務を行っており、同地銀がきちんとアドバイザリー契約の責務を果たしていたならば、そもそもこのような紛争は発生しなかったのではないかと思われる事案でした。実際、同地銀に対して事実の照会をかけたのですが、保身に走る回答しか出てきませんでした。無責任極まりないと思われる対応でした。この事件では、同地銀の仲介によるM&Aにより、実際に一つの企業が経営不振となり、売主も買主も双方が極めて不幸な状況となったのですが、その地銀だけはきっちりと報酬を得て、独り勝ちの状況でした。猫も杓子もM&A仲介に手を出すようになり始めた頃の話で、多くの地銀が即席のM&A担当部署を設置した時期でした。その担当した行員に、M&Aの詳しい知識があったとは到底思えませんでした。

公知のとおり、M&A仲介には何らの資格も不要ですので、実際、既に多くの地銀が新規分野への進出を目してM&A仲介市場に参入しておりますが、果たして専門的な知識が担保されているのでしょうか? また、人的資源の問題(優秀な人材は、より高給が期待できる既存のM&A仲介会社へ流れるのではないかという懸念です。)もありますが、そもそも転勤の多い銀行員が案件に携わることによって、事後的に責任の所在が不明瞭になることへの不安も生じます。そして、仮に地銀がM&Aに携わるとしても、別に仲介を推奨しなければならない理由はないのですから、メガバンクのようにFAに徹することも、検討に値するのではないかと思われます。

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(弁護士 中川内 峰幸)

債務整理で裁判所へ行かなければならないケース

債務整理で裁判所へ行かなければならないケース

弁護士に依頼して借金問題を解決する場合、「裁判所へ行かなければならないのか」と心配される方がいらっしゃいますので、ご説明しておきましょう。

まず、①任意整理の場合には、裁判所へ行く必要はありません。弁護士が個々の債権者と交渉をして示談をまとめる手続きですので、裁判所はノータッチです。

次に、②自己破産ですが、これには手続きが二種類あります。すなわち、同時廃止事件と異時廃止事件に分かれるのですが、要は簡単な事件と複雑な事件によって手続内容が異なるということです。

複雑な異時廃止の場合、裁判所より破産管財人弁護士が選任されますので、その弁護士の事務所にも行かなければなりませんし、また、債権者集会というものが開かれますので、最低1回(事件によっては複数回)裁判所に行く必要があります。

では、管財人のつかない同時廃止の場合には裁判所に行く必要がないのかというと、必ずしもそうではないのです。

裁判所によっては免責審尋手続というものが開かれ、実際に裁判所に行かなければならない場合があります。神戸地裁では、現在免責審尋というものは開かれていません。しかし、数年前になりますが、同じく神戸地裁管轄の明石支部では、申立人が裁判所に呼ばれて裁判官と面談した記憶があります。おそらくあれは免責審尋だったのでしょうが、その一回限りですね。

大阪地裁の場合には、集団免責審尋というものが開かれますので、裁判所に行く必要があります。これは10人程度の破産者が一つの部屋に集められ、その前に裁判官が座り色々と質問をしてきますので、これに応えないといけません。座学のような形でなされ、破産者の反省を促し、またその反省度合いを確認するという目的もあるのでしょうが、ある意味裁判所は汗を流しているなと思います。もっとも、管財事件の場合、一旦免責審尋の期日が指定はされますが、その後期日取消となり行く必要がなくなる場合もあります。

このように、裁判所によってその運用が大きく異なるという実態があります。

そして③個人再生の場合ですが、これも裁判所に行く必要はありません。個人再生委員が選任されるケースには、同委員(弁護士です。)の事務所に行ったりして対応する必要はありますが、その後裁判所に行くことは想定されていないようです。実際、過去に個人再生手続で裁判所へ行ったことはありません。

さて、裁判所は役所ですので、平日の日中しか開いていません。ですので、場合によってはお仕事に穴が開いてしまうかもしれません。裁判所に行く日程はある程度事前に分かりますので、調整が可能な方もいらっしゃるかと思いますが、裁判所に行く行為自体が負担だと思われる方は、個人再生や任意整理をご検討いただく方がよいかもしれません。また、同時廃止で終わる見込みが高い事件であれば、自己破産でトライしてみるというのでもいいでしょうが、異時廃止への振り分けは最終的には裁判所が決定しますので、必ず同時廃止で事件が進むことの確約は誰もできません。

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(弁護士 中川内 峰幸)

【自己破産】免責不許可事由(ギャンブル)

【自己破産】免責不許可事由(ギャンブル)

自己破産の申立てにあたり、最もわかりやすい免責不許可事由は、やはりギャンブルでしょう。

競馬、競輪、競艇、パチスロあたりが有名どころですが、裁判所は宝くじもギャンブルと考えていますので注意が必要です。FXや先物取引なども、広い意味でのギャンブルに含まれるでしょう。大阪にIRができれば、カジノも加わりそうですね。要は、「楽して儲けよう」という行為はギャンブルに該当する可能性が高いと考えていただいて問題ないかと思われます。条文の根拠としても、破産法252条1項4号では、「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」が免責不許可事由のひとつとして挙げられています。「射幸」とは、偶然に得られる成功や利益を当てにすることです。

さて、ギャンブル行為があった場合、自己破産を申し立てても免責決定を得られないのでしょうか?

いえ、実際には、ギャンブル行為があったとしても最終的に免責決定を得ている方はかなりの数に及びます。・・・が、これはギャンブルの内容次第となります。回数、金額、当時の収入状況といった要素を勘案の上、二度とギャンブルをしないという誓約のもと(場合によっては依存症の治療も必要です。)、裁量免責という形で、借金を帳消しにしてもらえる場合があるということです。そして、ギャンブルの態様が悪質であると思われる場合には、異時廃止事件へと移行して、破産管財人弁護士より厳しく指導を受けるということになります。その際には、反省文や家計簿の提出を求められたりする他、毎月お給料から一定の金額を裁判所に渡しなさいと言われることもあります。ですので、破産事件であれば弁護士費用+管財人の報酬以外は出費がないと考えるのは大きな間違いです。

ところで、管財事件になることを避けるべく、ギャンブルの事実を秘して申立ができないかとおっしゃる方がいらっしゃいます。

答えはNOです。

大体、裁判所には申立前1年間の通帳履歴を提出しなければなりませんが、こういう方の履歴には、「テレボート」や「JRA」といった印字がズラッと並んでいることが多いですので、隠しようがありません。では通帳自体を提出しなければよいではないかと思われる悪い方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような行為自体が裁判所を欺く行為に該当しますので、決して賛同できません。それに、嘘をついても結局のところ、どこかでボロが出てきて、裁判所や管財人には必ずバレてしまいます(では借入の理由は何かと聞かれますので、更に嘘を重ねることになります。)。そのような虚偽の申告が発覚した場合、絶対に免責許可となり、債務は消えません。嘘は絶対にダメです。逆に、たとえギャンブルをしていたとしても、そのことを正直に申告し、反省している旨を裁判所に分かってもらえれば、最終的に免責を得られる可能性は十分にあります。ですので、正直ベース一択です。

とはいえ、いくら反省しているとはいえ、債務の100%近くがギャンブルで作った借金だという場合には、やはり免責は困難だと思われます。では、80%ならどうか? 75%では? とお聞きされることもあるのですが、他の様々な要素も総合考慮の上で判断がなされますので、ケース・バイ・ケースと言うしかありません。

もっとも、そのような場合には、自己破産ではなく個人再生(場合によっては、任意整理)をお勧めしますし、逆に自己破産で申し立てた段階で、裁判所の方から「個人再生は考えないんですか?」と、暗に取り下げを示唆するような連絡が来る場合もあります。そして、その裁判所のサジェスチョンを無視して自己破産手続を続行する場合には、非常~に厳しい破産管財人が選任されるという印象があります。

ご自身の借金にギャンブル目的での借入があり、自己破産ができるのかご不明の方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

勾留中の生活

勾留中の生活

 ●はじめに

 刑事ドラマで、刑事が取調べなど捜査をする場面はよく見かけますが、留置場の場面が出てくることはあまりありません。多くの方にとって、留置場での生活がどのようなものか想像もつかないと思います。そこで、本コラムでは、勾留されてしまった場合、留置場でどのような生活を送ることになるのかについてご説明します。

 もっとも、留置場の運用は各警察署によって異なります。今回は、生田警察署に勾留されてしまったケースを前提にご説明します。

 ※ 本コラムは、情報公開請求により取得した兵庫県生田警察署留置施設管理運営細則を参照して作成しています。

●1日の流れ

 留置場での1日の流れは、以下のとおりです。

起床 午前7時

朝食 午前8時

運動 朝食後から適宜

昼食 正午

夕食 午後6時

就寝 午後9時

 起床から就寝までの間に、取調べを受けたり実況見分のため現場に立会ったりすることもあります。

 生田警察署では、平日は30分程度、運動場に出ることができます。運動場といっても、広さは10畳くらいで、地面はコンクリートですので、ストレッチくらいしかできません。

●飲食

食事の支給

 1日3食の食事が支給されます。食事の際には、お茶又は白湯も支給されます。

 食事の支給時以外に湯茶が支給されるのは、午前10時、午後3時、就寝前(1杯に限る)、就寝中(1杯に限る)のみです。いつでも、湯茶が支給されるわけではないようです。

自弁の食事

 留置場で提供される食事以外に、自分で買った弁当・丼物を食べることができます。ただし、購入した弁当・丼物を食べることができるのは、平日の夕食のみに限られています。 なお、麺類・スープ類の購入は認められていないそうです。

お菓子や飲料の購入

 お菓子や飲料を購入することもできます。 お菓子はチョコレート、菓子パン、スナック菓子を購入することができます。飲料は、紙パック入りのジュースを購入することができます。 購入した菓子類・飲料は、昼食後から夕食まで摂取することができます。

●衛生

入浴

 入浴は週2回(生田警察署の場合は木曜日及び日曜日)に認められています。入浴時間は20分程度で、同時に2名ずつ入浴します。

洗面

 洗顔や歯磨きは、起床時と就寝前にできます。

洗濯

 洗濯は、留置担当官が行います。

調髪

 自費ではありますが、留置場内で散髪をすることもできます。

髭剃り

 髭剃りは、運動時に運動場で使用することができます。  電気カミソリを借りることができます。

その他

 綿棒は、運動時、入浴時に使用が認められます。

●書籍

 書籍は、自身で購入した書籍、差入れられた書籍、備え付けの書籍を閲覧することができます。留置室に持ち込むことができる書籍は、3冊以内です。

●警察署から貸与される物

 寝具、日用品、筆記具、衣類は貸与されます。

 ただし、眼鏡、コンタクトレンズ、衛生用品(歯磨用具、生理用品)、松葉杖、車椅子は貸与されないため、ご自身で購入するか差入れをしてもらう必要があります。

●一般面会

 弁護人との接見は、24時間実施することができ、警察官の立ち合いはなく、接見時間の制限もありません。しかし、弁護人以外との面会(一般面会)の場合は、以下のルールがあります。

面会ができるのは平日の午前10時から午後5時

 ただし入浴時間、昼食時間帯は面会ができません。そのため、正午の時間帯は面会ができない可能が高いです。生田警察署の場合、木曜日が入浴日ですので注意が必要です。

面会の回数は、原則1日1回

 そのため、面会に行かれたとしても、先に面会をした方がいた場合には、その日は面会をすることができません。

面会時間は、1回20分以内

面会者の数は、一度に3人まで

●差入れ

 差入れについては、以下のルールがあります。

受付時間は、平日の午前10時から午後5時

1回に差入れができるのは、着替え3日分、書籍3冊以内、写真3枚以内、日用品若干、現金2万円以内

 書き込みがある書籍は、差入れすることができません。また、書籍の表紙カバーは外すように指示されます。

同一者による差入れは、1日1回まで

原則として、郵送での差入れはできません

 ただし、「やむを得ない事情により留置主任官が認めた場合はこの限りではない」と定められています。遠方から差入れをされる場合には、郵送も認められる可能性がありますので、警察署に電話でお問い合わせいただくのがよろしいかと思います。

※ 差入れができる物品や郵送による差入れが認められるかについては、警察署によって運用が異なります。

●おわりに

 留置場での生活では、様々な制限があり快適といえるような環境ではありません。そのため、弁護士がご家族に対して必要な支援をご説明し、連携しながらサポートをすることが望ましいと考えられます。

(弁護士 山本 祥大)

【個人再生】再生委員がつくケースとは

【個人再生】再生委員がつくケースとは

「個人再生委員」という言葉は、皆様あまり耳にすることはないかもしれません。

これが「破産管財人」となると、ある程度イメージが湧くかもしれませんね。破産管財人は、自己破産手続を申し立てる際、一定の場合に裁判所により選任される者で、申立人代理人とは別の弁護士が選ばれます。選任される代表的なケースとしては、免責不許可事由がある場合や、財産があり配当が予定される場合などが挙げられます。

これと同じく、個人再生委員は、個人再生手続を申し立てた際に、裁判所により選任される者であり、公平中立な機関であるといえます。

個人再生委員がどのような業務を行うかというと、①申立人の財産及び収入状況の調査、②再生計画案につき、申立人に対し必要な勧告を行うこと、といった内容となります。

さて、この個人再生委員、東京地裁本庁で申立をする場合には全件選任されるらしいですが、その他の地域、少なくとも神戸地裁においては、原則選任されませんので、ご安心ください。複雑な事件の場合に、例外的に選任されるという運用となっています。

個人再生委員がつけられると、同委員に対する報酬も数十万円別途必要となりますし、同委員からの質問等にきちんと対応する義務が生じるため、経済的にも、労力的にも、時間的にもしんどい手続となってしまいます。つかない方が楽であることは、間違いありません。

それでは、どのような場合に個人再生委員が付されるのでしょうか? 答えとしては、「複雑な事件」ということになります。そしてどのようなものが「複雑」かというと、事案によるというほかないでしょう。

しかしそれでは説明になりませんので、具体的なお話をしますと、過去に当事務所で取り扱った個人再生事件で再生委員が付されたものとしては、やはり自営業者の方の事件が多いと言えます。すなわち、サラリーマン(給与所得者)であれば、給与明細や源泉等により収入の内容が明瞭ですが、自営業の方は、そこらへんの操作が容易ですし、また、帳簿をつけていても独自ルールにより複雑で収支関係がよくわからないという場合があります。そのようなケースでは、裁判所が個人再生委員を選任して調査させましょうということになりやすいと言えます。

他には、財産の評価が困難なケースなども挙げられるでしょう。当事務所で実際にあったのは、不動産の評価が困難で、固定資産評価額と不動産業者による査定との間に大きな乖離があった事案で、清算価値を把握する目的から個人再生委員が付されたということもありました。

あるいは、家計収支の内容が心もとなく(毎月の収支が赤字ギリギリなど)、履行可能性に不安がある場合などにも、個人再生委員が付されてその点を指導されるといったケースもよくあります。ここでは、破産管財人に毎月家計簿を提出するのと同じような手続きが要請されます。

それ以外では、債務額が多く、かつ、個人の債権者が多数存在する場合なども、同人らが意見を述べたりと複雑な手続きが想定されることから、再生委員が選任される可能性が高まります。また、住宅特則を利用できるケースなのか判然としない事案の場合にも、個人再生委員が付されることがあります。

繰り返しとなりますが、再生委員が付されると、ご依頼者にとってもかなり負担が増大します。当事務所では、再生委員がつく可能性に関しても、事案に則してご説明させていただいております。同委員が選任されることを回避するのであれば、頑張って任意整理するということも考えられますが、それが可能であるかは、お客様の資力次第ということになります。

債務整理でお悩みの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、以下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

任意整理ができない場合とは

任意整理ができない場合とは

借金問題にお困りの方の中には、自己破産や個人再生といった手続きではなく、任意整理で少しずつでも返済して行きたいと思われる方もいらっしゃるでしょう。自己破産や個人再生の場合、同居の家族に知られてしまう可能性が高まりますが、任意整理でしたら、人知れずこっそりと債務整理ができる可能性もありますので、そういった意味でも任意整理をご希望のご相談者は結構おられます。

しかし、残念ながら、全ての場合に任意整理ができるというわけではありません。というのは、任意整理は裁判所を使う手続きではなく、弁護士が債権者と個々に交渉をして和解契約を締結するという手続きです。したがいまして、相手方のあることですので、「絶対にこの回数で、この金額で」、ということはお約束できないことになります。

その上で、そもそもはなから任意整理に応じない業者というものが存在します。その多くは、みなし貸金業者といって、現在は貸金業の登録をしておらず、既存の貸付金の回収のみを行っている会社です。一括返済でなければダメだ、と言って譲歩の余地がありません。例えばギルド(旧ハッピークレジット、旧トライト、旧ヴァラモス)などは有名ですね。

また、いわゆる街金と呼ばれる中小規模の業者も、厳しい態度で出てくることが比較的多いと言えます。任意整理に応じないとまではいかなくても、通常の業者よりも和解条件を厳しく提示してくることが多いといえます。この「厳しい」というのは、通常60回での返済に応じる業者が多いところ、これを48回だとか36回といった短期間での返済計画を求めてくるということです。あるいは、「将来利息を乗せろ」という要求をしてくることもあります。ということは、月々の支払額が高くなり、現実問題として弁済費用を捻出できないといった状態に陥ることになり得るということです。

さて、上に見たような属性の業者ではなく、大手の貸金業者であれば間違いなく任意整理ができるかというと、実はそうでもないのです。例えば、アコムやライフカードといった社名は、皆様よく耳にされていると思いますが、任意整理に関しては厳しい対応をしてくる業者です。CM等で親しみやすい雰囲気があることから利用される方も多いでしょうが、返済の際には決してやさしくありません。

また、通常であれば積極的に和解に応じてくれる業者であっても、「通常でない場合」、例えば取引期間が1年程度と短い場合などは、任意整理の和解をまとめることが極めて困難となります。もう1点、換金行為をしている場合も、業者によっては和解に応じてくれないケースが出てきます。例えば、ペイディを利用してアップル製品を購入する方は多いのですが、購入したそのiPhoneだかアップルウォッチだかを既に転売してしまっている場合、同社は途端に厳しい態度となり、任意整理の交渉に一切応じてくれません。

このように、諸々の事情から任意整理ができない場合というものがございます。そして、債権者側の事情とは別問題で、そもそも借金の総額が大きいことから、単純に月々の手取り額から弁済にあてる金額を確保できないという場合もあるでしょう。さらに付け加えるならば、生活保護を受給されている方は任意整理ができません。保護費はその名のとおり生活のための費用です。保護費を借金の返済費用にあてると、場合によっては保護取消となるかもしれませんので、注意が必要です。

以上のように任意整理ができないといった場合には、自己破産や個人再生といった裁判所を使う法的手続の可否を検討することになります。

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(弁護士 中川内 峰幸)

【自己破産】免責不許可事由(着物の購入)

【自己破産】免責不許可事由(着物の購入)

女性の方で、着物を多数購入して債務を増加させてしまったというご相談者が結構いらっしゃいます。

仕事や家庭のストレス等で悩んでいた際、知人に誘われて展示会に足を運んだところ、購入しなければ帰れないような雰囲気となって、割賦契約を結んでしまったというのがお決まりのパターンです。その一回限りならば、ある程度被害者だったといえるのかもしれませんが、興味深いのは、その後も自発的に展示会に赴き、複数回にわたり購入してしまっている方がほとんどという点です。

着物の販売会社も手慣れたもので、手を変え品を変え顧客の購買意欲を煽るのでしょうが、どうやら購入した着物を着用した上で参加する「ミス〇〇」といったような自社大会を用意して、購入者本人をエントリーさせ、「その気にさせる」ということもあるようです。「全国大会まで行ったんです」などとおっしゃるご相談者の話しぶりからは、騙されているという認識も希薄であるように思われます。

いずれにせよ、自身の支払能力を超えた割賦契約を締結し高額の着物を購入するという行為は、破産手続においては、免責不許可事由となりえます。購入価額が多額にのぼる場合には、裁判所により破産管財人が選任され、厳しい調査がなされる可能性が否定できません。

さて、当事務所では、ここ1年に限っても、着物購入の浪費があったという案件で神戸地裁に申し立てたものが複数件あります。中には、管財人がつかず、幸いなことに同時廃止で終わった事件もありますが、これは事案によるとしかいえないでしょうね。着物販売業界では、実際、悪質な業者も散見されますので(弁護士会の中でも問題視している業者があります。)、ある程度は裁判所もその旨を理解してくれているという感覚もあります。とはいえ、やはり浪費は浪費なのですから、(金額にもよりますが)原則管財事件になると考えていただいていた方がよいでしょう。

裁判所への申立に際しては、予め査定を取る必要があるのですが、購入した時には数百万円した着物が、二束三文の値しかつかないことがほとんどです。皆さんいたたまれない気持ちになるようです。また、管財事件となった場合には、着物を実際に管財人弁護士の事務所に持って行ったりする必要も生じます。ご主人に内緒で着物を購入しているケースも多いのですが、今後の家計を正常化するためにも、やはりご主人と一度きちんと話をする方がお勧めです(ご主人に内緒で解決できた事件もありますが、これもケース・バイ・ケースです。)。

管財手続になりますと、時間的にも労力的にも大変な事件となりますので、それに耐えられないという方は、自己破産ではなく、個人再生を選択することによって債務を整理される方もいらっしゃいます(任意整理という手段もありますが、専業主婦の方の場合ですと、おそらく困難なケースが多いと思われます。)。

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(弁護士 中川内 峰幸)

勾留中に病気になってしまったら

勾留中に病気になってしまったら

●はじめに

勾留されてしまった場合、留置場での生活は快適なものではなく、慣れない環境の中で体調を崩される方も多くいらっしゃいます。そのため、私は接見する際、「体調はいかがですか」とお声がけするようにしています。今回のコラムでは、勾留中に病気になってしまったらどうするのかというテーマでお話しします。

●留置場での医療

勾留されている間、月に2回、留置場内で医師による健康診断を受けることができます。健康診断といっても、血圧と体重を測定し、健康状態について医師が口頭で確認するという程度です。健康診断の際に薬がもらえる可能性もありますが、医師によって対応は異なります。また、体調が悪くなった場合には、留置担当官に申し出ることにより、外部の医療機関やかかりつけの医療機関で診察・治療を受けることができます。ただし、私の経験上ですが、吐き気がする、湿疹ができているなどの症状で、外部の医療機関やかかりつけの医療機関での診察・治療を希望したとしても、留置担当官が対応しないということもありました。

では、法律上はどのように定められているのでしょうか。

刑事施設収用法201条は、

① (被留置者が)負傷し、もしくは疾病にかかっているとき、又はこれらの疑いがあるとき

② (被留置者が)飲食物を摂取しない場合において、その生命に危険が及ぶおそれがあるとき

には、速やかに委託する医師による診察その他必要な医療上の措置を執ることを義務付けるとともに、病院又は診療所に通院・入院させることを認めています。

さらに、同法202条は、

留置業務管理者は、負傷し、又は疾病にかかっている被留置者が、当該留置業務管理者が委嘱する医師等以外の医師等を指名して、その診療を受けることを申請した場合において、傷病の種類及び程度、留置施設に留置される前にその医師等による診療を受けていたことその他の事情に照らして、その被留置者の医療上適当であると認めるときは、内閣府令で定めるところにより、留置施設内又は留置業務管理者が適当と認める病院若しくは診療所において、自弁によりその診療を受けることを許すことができる。

と規定しています。

つまり、かかりつけの医療機関による通院治療も法律上認められる可能性があります。

●もし、適切な診察・治療を受けられない場合

留置担当官に体調不良を申し出たとしても、適切な診察・治療を受けられないこともあり得ます。そのよう場合には、弁護士が、健康状態や病名を聴取し、留置業務管理者に対して適切な医療上の措置を講ずるように申し入れをします。

●おわりに

留置場で体調が悪くなった場合には、留置担当官に伝えるようにしてください。もっとも、留置担当官が怖くて伝えられない、伝えたとしても対応してもらえない場合なども見受けられます。そのような場合は、弁護士から留置担当官に対し、適切な医療措置を講ずるように申し入れをしますので、遠慮なくご相談ください。

(弁護士 山本祥大)

神戸で債務整理をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。

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弁護士に依頼する債務整理の内容としては、大きく分けて、①自己破産、②個人再生、③任意整理といったものがあります。

①自己破産は、イメージがわきやすいと思われます。裁判所に申立をして、借金を帳消しにしてもらう手続きですね(これを免責(めんせき)といいます。)。ただし、自己破産にも2種類ありまして、簡単な手続きと、複雑な手続きに分かれます。簡単な手続きの場合には、神戸地裁では、裁判所に行く必要すらなく、書面審査だけで終わります。しかし、複雑な手続きになりますと、破産管財人弁護士が裁判所によって選任され、色々と調査がなされます。その際には、破産管財人弁護士の事務所にも行かなければならず、色々と質問を受けることになるのですが、これにきちんと対応しなければ、免責の意見をもらえません。また、債権者集会というものが開かれますので、裁判所にも行かなければなりません。裁判所は平日の日中しか開いていませんので、もしかするとお仕事に穴が開いてしまうかもしれません。ですので、簡単な手続きに比べ、複雑な手続きになった場合には、時間的にも労力的にもかなり重たい手続きになります。そして、どちらの手続きになるかは選べないのです。最終的に裁判所が決定することになります。・・・とはいえ、ある程度は事前に予測ができます。免責不許可事由(ギャンブルなどですね。)が極めて大きい場合などには、管財人がつけられる可能性が高まります。また、一定額以上の財産をお持ちの方も、自動的に管財事件となります。

②個人再生は、これも裁判所を使う手続きなのですが、借金を大体5分の1にして、それを3年から5年かけて支払い(36回から60回ということですね。)、最後までゴールできれば、残りの借金が帳消しになるというものです。借金の金額によっては、10分の1になる場合もありますが、最低限支払わないといけない金額は、100万円です。100万円を36回で支払うとなると、月々2万8000円ぐらいですので、それぐらいならば何とかなりそうだという方も多いでしょう。なお、清算価値(せいさんかち)といって、お手持ちの財産が100万円よりも多い場合、例えば150万円お持ちの方は、その150万円が基準となって、これを3年から5年で返していくという計算になります。破産ができない方(マイホームをお持ちの方や、資格制限のある方、また免責不許可事由が大きい方など)は、個人再生手続を利用することが考えられます。

③任意整理は、裁判所を使わない手続きです。弁護士が個別に債権者と交渉をして、将来利息をカットし(これ以上利息で金額が増えないようにして)確定した金額を分割で返済していくという内容で示談をする手続きです。裁判所を使いませんし、相手方のあることですので、絶対にこの金額で、この回数で、というのはお約束できません。業者によって、任意整理に非常に厳しいところもありますし、優しいところもあります。ただし、借入期間が数か月程度と極めて短い場合には、なかなか示談を成立させるのは困難でしょう。クレジットカードで購入した物を転売してしまったという場合には一切交渉に応じないという業者もいます。ただ、自己破産や個人再生といった裁判所を使う手続きは、全ての債権者をリストアップしなければならなくて、漏れがあってはならないのですが、この任意整理の場合には、対象とする債権者を選択できますので、例えば知人からの借入や保証人になってもらっている債務があり、同人に破産や再生の事実を知られたくない場合などには、任意整理で頑張って払っていくという方も多いですね。

当事務所は、先代の弁護士の時代より数えて、実に50年近く債務整理を取り扱っております。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

さて、最近、「ネット広告を見て電話した東京の法律事務所や司法書士に任意整理を依頼したが、途中で着手金が払えなくなったので辞任された」と言ってご相談に来られる方が非常に増えております。そこで詳しくお話を伺うと、そもそも任意整理ができるような案件ではなく、最初から自己破産や個人再生で受任するのが相当だと思われるようなことが多々あります。これはよくありませんね。任意整理ならば、自己破産や個人再生と違って、ご依頼者との打ち合わせなども比較的少なくて済むことから、電話やLINEだけで受任して、実際に支払いが可能かどうかなどは無視して債権者ととにかく示談を交わし、後のことは関知しないとして放り出すというケースが散見されます。手取りが18万円なのに、600万円の債務を任意整理して今後月額10万円超を払わせるなんていう内容の事案も見たことがあります。どうやって生活していけというのでしょうか。はっきりいって滅茶苦茶です。はなから任意整理は無理だと、ご相談の段階でアドバイスしなければならない案件です。

誤解を恐れずにいいますと、非弁の可能性があります。非弁とは、弁護士が名義だけを貸して、実際の業務は弁護士以外が機械的に対応する犯罪です。実はこの件は、かねてより問題視されておりまして、弁護士の間でも、「大量広告事務所による債務整理二次被害対策全国会議」なるものが設置されたほどです。極めて恥ずかしいことです。

このような事務所は、弁護士との面談もおろそかにしています。事件を受任する際、弁護士とご依頼者とがきちんと面談をした上で法律相談をしなければならないのですが、これを電話で済ませたり(本当に電話口の相手は弁護士なのか、分かりませんよね。)、後日形式的に弁護士と顔合わせをするだけであったりと、杜撰な業務を行っている事務所もあると聞きます。騙されないようにしてください。

当事務所では、電話やメール、LINE等で委任契約を締結することはありません。ご不便と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、WEB面談や電話相談も行っておりません。全ての方に事務所にお越しいただき、全ての事件で弁護士が直接面談をして、皆様のお悩みに対して個別に法律相談を実施させていただきます。顔と顔を合わせてお話をしなければ、詳細な聞き取りができませんし、皆様からのご質問も不十分に終わってしまう可能性があるからです。そして何よりも、お会いして直接お話を伺わなければ、弁護士とご依頼者との間の信頼関係が構築できないと考えるからです。

ですので、当事務所の債務整理のご相談は、神戸とその周辺のお客様のみを対象とさせていただいております。全国展開はしておりません。東は大阪、西は明石、姫路あたりまでですかね。淡路島からのご相談も、よくお受けさせていただいております。

皆様のお悩みは、一つとして同じものはありません。ですので、お一人お一人の置かれた状況を詳細にお伺いして、それぞれの案件に最適の解決方法をご提案する必要があります。電話やLINEで全国から大量に集客して、機械的にさばくといった事件処理は通常不可能なのです。この点、ご理解を頂戴できれば幸いですし、皆様におかれましても、くれぐれもご注意いただければと思います。

長くなりましたが、神戸で債務整理をご希望の方は、シャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。まずは電話やメール、LINEで、ご来所いただく日程のご予約をお取りください。弁護士が待っています。

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(弁護士 中川内 峰幸)

M&A仲介業者に対する訴訟提起

M&A仲介業者に対する訴訟提起

朝日新聞の報道によりますと、茨城県などに拠点を置く法人グループが2021年以降、飲食店や建設業者など約30社を買収し、その後トラブルが相次いでいる事件につき、買収された会社の元社長が、マイナビ子会社のマイナビM&Aに対して、9714万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたとのことです。

大手のM&A仲介会社においては、日常的に数多くの訴訟を抱えているということを聞いたことがありますが、それらの一つ一つにつき報道がなされることはありません。この度の事件が大きな社会問題となっていることからこその報道でしょう。

たしかに、この度の朝日新聞の報道は、各方面に大きな影響を与えており、従来より問題視されていたが手付かずであった業界の暗部に対し、確実に一石を投じたと言ってよいでしょう。両手取引による利益相反や高額な手数料といった業界の構造的問題を広く明るみに晒すこととなり、これにより、中小企業庁がガイドラインの見直しを開始しました。また、6月10日には、M&A仲介大手の株価が一斉に急落するといった現象も見られました。

さて、報道に見られる請求額の内容ですが、「契約で約束された個人保証の解除もされず、株式譲渡後の資金流出や被告への報酬が損害にあたるとしている」と記載されています。法律構成が気になるところです。原告は元株主だと思われますが、クロージング後に対象会社の資金が外部へ流出したとしても、これは対象会社に発生した損害であると思われるところ、これを元代表者の固有の損害として請求できるのかという点で、その法律構成が興味深いです。報道では、併せて「今年に入り株式譲渡契約を無効にして会社を解散し」とも記載されており、この点が関係するのかもしれませんが、訴状を見ておりませんので状況は一切不明です。

さて、いざM&A仲介業者を訴えるとして、一般には、当該業者が売主(買主)との間で締結するアドバイザリー契約の中には、損害賠償の条項中、「乙(M&A仲介業者)は、本業務の遂行にあたり、甲(売主又は買主)に損害を与えたときは、故意又は重過失がない限り、甲及びその他の者に対して損害賠償を含む一切の責任を負わない」という旨の免責条項が置かれていることがほとんどです。

また、故意又は重過失によって損害賠償責任が発生する場合であっても、損害額の制限を設けることも多いでしょう。通常は、着手金・中間報酬・成功報酬等の名目で受領した金額を上限とすることがよく見られます。さらには、これも同じく免責条項となりますが、「甲(売主又は買主)は、乙(M&A仲介業者)に対し、甲が自己の最終的な判断及び責任に基づいて、対象企業の選定及び本件提携(株式譲渡等の実行のことです。)を行うこと並びに乙が本件提携に関して一切の責任を負わないことを確約する。」といった内容の条項が置かれることもあります(ただし、効果は消極的に解されるでしょう。)。

そして、そもそもM&A仲介業者が負う善管注意義務とはどの程度のものが要求されるのか、という点も問題となります。これは、当該アドバイザリー契約においてM&A仲介業者が負担する業務の内容・範囲と密接に関連する点であると考えられます。

いずれにせよ、M&A仲介の中には、成約を急ぐばかりか杜撰な業務を行い、また潜在的なリピーターである買主側の利益偏重となるような業者が散見され、これに起因して、後々トラブルとなることが珍しくありません。ですので、M&A仲介の対応にご不満をお持ちの方は、少なくないのです。

「M&A仲介業者の業務に問題があるのではないか」「M&A仲介業者を訴えられないだろうか」とお悩みの方は、M&Aトラブル相談センター(シャローム綜合法律事務所)までお問い合わせください。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)