【残業代請求の消滅時効】
1 はじめに
債権者が、一定期間権利行使をしなかった場合、債権を消滅させることができ、これを消滅時効といいます。残業代が支払われていない場合、残業代を請求する権利も債権ですので消滅時効があります。
今回のコラムでは、残業代請求の消滅時効についてご説明します。
2 残業代請求の消滅時効
令和2年4月1日以降に支払期日が到来する残業代請求権は、3年が消滅時効の期間となります。労働基準法では、残業代請求権の消滅時効は5年と規定されていますが、当分の間は3年とされています。
残業代請求の消滅時効の起算点(いつから期間を計算するのか)は、各月の賃金の締め日ごとになります。そうすると、3年以上会社で勤務をしていて残業代が支払われていない場合には、各月の賃金の締め日から3年が経過すると、その月の残業代を請求することができなくなってしまいます。
3 時効を止める方法
内容証明郵便によって会社に残業代を請求すると、6カ月間は時効が完成しません。
また、裁判上の請求(訴訟や労働審判)をしている間も時効は完成せず、裁判の判決が確定した場合などには、これまでの時効期間がリセットされます。
弁護士が依頼を受けた場合には、直ちに会社に対し受任通知を送付することで、時効の進行を止めます。そして、6か月間の間に会社と交渉をし、6カ月で交渉がまとまらない場合には訴訟か労働審判を申し立てます。
4 おわりに
残業代請求権には3年で消滅時効が成立します。そのため、未払いの残業代があったとしても3年を経過すると会社に請求することは難しくなります。残業代請求でお悩みの方は、シャローム綜合法律事務所にご相談ください。
(弁護士 山本祥大)