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【債務整理】電話やWEB面談だけで受任してくれますか?

【債務整理】電話やWEB面談だけで受任してくれますか?

債務整理事件につき、全国に向けて広告を打っている法律事務所や司法書士事務所があります。そのほとんどが信頼できる事務所だと思いますが、中には問題のある事務所もありますので、ここで注意喚起させていただきます。

「ネット等で債務整理の広告を見て電話したところ、任意整理を勧められてそのまま契約してしまった」というお客様がよくいらっしゃいます。結果、支払いができなくなって当事務所にご相談に来られるのですが、お話を聞くと、弁護士に会ったこともなく、最初の電話だけで契約してしまったとのこと。電話口の人物が弁護士であったかも不明です。そして事件の内容的にも、債務額が大きく、そもそも最初から任意整理で受任するのは無理な話で、自己破産や個人再生を選択するのが適当ではないかと思われる事案も多いのです。

これは非弁かもしれません。非弁というのは、文字通り「弁護士に非ず」ということで、弁護士資格を持っている者しか取り扱えない行為を弁護士資格のない者が行う行為で、これはなんと犯罪なのです。

弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所という弁護士法人は、非弁業者と提携して、同業者に対して自己の名義を利用させ、電話での各事件に関する相談対応、処理方針や弁護士費用の決定、契約書案の作成、和解交渉などを行わせたとして除名されました。依頼者からの預り金数十億円を不正に流用したとして大きくニュースでも取り上げられましたので、記憶に残っている方もいらっしゃるかもしれません。消費者金融OBの人物に事務所を乗っ取られていたのではないかという報道もありました。

このような問題を防止すべく、日弁連は、債務整理事件を受任する際に弁護士の面談義務を課しております。

すなわち、債務整理事件を受任する際には、

① 弁護士は必ず依頼者と面談し、債務の内容や債務者の生活内容等を聞き取りしなければならず、オンラインツール等(電話、メール、Zoom等)で打ち合わせをしたとしても、面談義務を果たしたことになりません。面談は直接面談を指し、画面上で顔を見ながらであっても、面談にはあたりません。

② 面談ができない「特段の事情」がある場合には、とりあえずは適当な手段で聞き取り等を行うこととなるのでしょうが、その場合でも面談義務が免除されるわけではなく、「特段の事情」がやんだ後には速やかに面談をしなければなりません。

③ そして、「特段の事情」とは、面談することが困難な客観的事情を意味し、単に「オンラインでの打ち合わせが便利だから」という理由や、「依頼者が遠方に居住しているから」といった理由では、「特段の事情」にあたりません。

つまり、電話やWEBだけで債務整理を受任してくれる法律事務所はこれら規定に明らかに違反しており、それだけで極めて怪しいのです。なお、電話で受任した後しばらくして、弁護士が出張してきて面談するというケースもあるようですが、これが単なる直接面談の既成事実を作出するための顔合わせに過ぎないのであれば、上記規定の潜脱行為であろうと考えられます。

結論としては、電話やLINEやZoomやSkypeだけで依頼できる法律事務所は危険なので避けた方がよいということです。電話やメール1本で解決できるような広告は、ご依頼者にとっては耳障りがよいのかもしれませんが、はっきり申し上げて、危ないので避ける方が賢明です。

当事務所では、必ず弁護士が直接面談を行い、たっぷりと時間をとって、詳しくお客様のお話をお聞きいたします。そうしなければ適切な解決手法を検討することが不可能ですし、お客様のご質問にきちんとお答えすることもできません。ご不安に思われていることは全て弁護士に対して直接ご質問ください。

以上の理由から、当事務所では、債務整理事件に関しては、直接お越しになれる範囲にお住いの方々からのご相談以外はお受けすることができないのです。この点、何卒ご了承いただければ幸いでございます。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

M&A仲介で事業承継 「経営者保証トラブル」から身を守る防衛術(朝日新聞)

M&A仲介で事業承継 「経営者保証トラブル」から身を守る防衛術(朝日新聞)

前回ご紹介した内容とも重複しますが、中川内弁護士のコメントが朝日新聞の連載記事(M&A仲介の罠Ⅱ 経営者保証の落とし穴/藤田知也記者)にも取り上げられています。

https://asahi.com/articles/ASS7B0HXPS7BULFA001M.html

また、2024年7月17日付朝日新聞朝刊経済面にて一連の連載の掲載が始まったとのことですので(土曜朝刊まで計4回予定)、併せてご高覧いただけますと幸いです。

朝日新聞に中川内弁護士のコメントが掲載されました

朝日新聞に中川内弁護士のコメントが掲載されました

中小M&Aにおいて経営者保証が解除されない問題に関して、中川内弁護士のコメントが朝日新聞に掲載されています。

M&A仲介で相次ぐ「経営者保証トラブル」 政府がルール見直しへ:朝日新聞デジタル (asahi.com)

2024年7月12日付朝刊の紙面では、もう少し詳しく掲載されていますので、併せてご高覧頂ければ幸いです。

【債務整理】女性のお客様からのご相談もお待ちしております

【債務整理】女性のお客様からのご相談もお待ちしております

当事務所は幸いなことに、幅広く様々な分野のご依頼を頂戴しておりますが、その中でも債務整理は、扱う件数としてはかなり多い部類となります。先代の弁護士の頃より債務整理はたくさんお受けしておりまして、実績も経験も豊富であると自負しております。

さて、統計を取ったわけではありませんので確実な話ではないのですが、当事務所における債務整理のご依頼者に関し、男性・女性の比率について考えてみますと、おそらくは男性6.5:女性3.5ぐらいではないかという感覚があります。もちろん、自己破産や個人再生、任意整理といった手続ごとによっても異なってきますし、また年代別でも変わるのでしょうが、この数字をどう見るかです。

思ったよりも女性が多くはないでしょうか?

・・・思うに、借金の内容として、消費者金融等からの借入よりも、今日ではクレジットカードや各種ペイ払いといった手法での債務負担が増加しているといえます。これらルートでの債務負担は、男女関係なく発生するものですので、多重債務に陥る女性が多数に上るとしても、全く不思議な話ではないのです。

いずれにせよ、当事務所では女性からの借金問題のご相談も、日常的に多くお受けしております。女性の方々にとっては特に、法律事務所は何だかこわいとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、皆様問題なく法律相談を受けてお帰りになられています。また、女性の事務員も在籍しております。不安でしたら、ご親族やお友達と一緒にお越しいただいても構いません。そのような方もよくいらっしゃいます。

借金問題でお悩みの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

【破産・再生】どの手続を選択すべきか【任意整理】

【破産・再生】どの手続を選択すべきか【任意整理】

債務整理には、大きく分けて、①自己破産、②個人再生、③任意整理といったメニューがあります。他にも特定調停だとか、あるいは時効援用や過払金返還請求だとか、借り換えやリスケ、任意売却などなど手法は色々とあるのですが、主に利用されるのが上記①乃至③ですので、本コラムでは、とりあえずこの三つに絞ってお話ししましょう。

ご相談者からお話を伺ったあと、ではどうしましょうかという段になります。「破産は絶対に避けたいです」「少しずつでも払っていきたいです」など、ある程度固まったご希望がお客様の側にあるのであれば、極力そのご意向に沿った形で、実現可能性を検討させていただきます。しかし、お客様もどうすればよいのか全く見当がつかないというケースもあります。心配ありません。そのために弁護士に相談に来られたのですから。

では、そのような際の指針につき考えてみましょう。ポイントは、何を最重要視するのかという観点です。

まず、債務の額です。これが大きくなり過ぎているのであれば、任意整理は事実上選択肢から外れます。分割での支払が不可能だからです。

次に、守るべき資産があるかです。具体的には不動産ですが、マイホームをお持ちで今後も住み続けたいというご希望があるのでしたら、自己破産はできません。個人再生ということになるでしょう。なお、住宅を手放してもよいということでしたら、任意売却を経た上で自己破産(か、残債務額次第では任意整理もありえます。)ということになります。

あるいは、知人(あるいは会社など)に知られたくないということを重視するのであれば、任意整理を検討することになります。知人からの借入がある場合には、自己破産や個人再生を利用すると、当該知人にバレてしまいます。また、同居の家族がいて生計を一にしている場合には、家計収支や居住証明等の作成につき協力が必要ですので、家族に話をしなければ手続が困難です。そのような場合には、任意整理ということになります。

また、免責不許可事由の有無・程度という観点も必要です。少しならばよいのですが、免責不許可事由(たとえばギャンブルや浪費です。)がかなり大きいという場合には、自己破産を申立てると破産管財人が選任される可能性が高まります(時間的・労力的・経済的負担が増します。)。それでもよいというのであれば自己破産でよいのですが、これを避けたいというのであれば、個人再生や任意整理を選択することとなります。

他には、収入というポイントもありますね。一定の収入があるのであれば、任意整理や個人再生も現実的ですが、収入が低い方や無職の方などは、破産を選択するしかないでしょう。なお、その場合は生活保護の申請を検討しなければならない場合がありますのでご留意ください。

更には、資格制限の観点も必要でしょう。一定のご職業にお就きの方は、自己破産により資格制限を課せられます。あるいは、これは法律による資格制限ではないのですが、公務員の方は自己破産を回避したいというご意向が強いという傾向もございます。

まだまだあります。事業をされているか、あるいは給与所得者なのかによっても手続は変わってくるでしょう。当該事業が継続できるのかそれとも廃業するのかによっても枝分かれします。

また、ご本人やご親族のお考えで、自己破産はどうしても避けたいなどという方もいらっしゃるでしょう。ただし、法律が認めている手続なのですから、破産を避けたいというお考えに固執していつまでも経済的苦境から脱出できないというのはナンセンスではないかと考えます。

他にも検討のポイントは様々なものがありますので、列挙してもキリがありません。そして、これら事情も独立して存在しているのではなく、複合的に組み合わさってお客様それぞれの現状というものが作出されているわけです。ですので、通り一遍等にあなたは破産、あなたは再生、などと簡単に振り分けられるわけではありません。

当事務所では、お客様それぞれの置かれた具体的な状況に則して、どの手続が最も適当であるかをご提案させていただきます。一人として同じご事情をお持ちの方はいらっしゃいません。いうなれば、オーダーメイドで法律相談を実施させていただいております。手続きの強引な押しつけは一切いたしません。最終的にはお客様のご意向を尊重させていただいております(とはいえ、収入がゼロなのに任意整理をしたいというようなご要望に関しては、無理なものは無理なのですから、それが無理である理由を丁寧にご説明差し上げますね。)。

自分のケースではどの手続がよいのだろうとお悩みの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

個人再生での返済期間

個人再生での返済期間

個人再生手続は、借金を大幅に減額して、その減額した金額を分割で支払い最後までゴールできると、減額部分に関しては債務が消滅するというかなりメリットのある債務整理の手段の一つです。

そして法律上、個人再生手続により返済していく期間は、3年~5年とされています。民事再生法という法律の229条2項に規定があるのですが、原則3年(36回払い)、特別の事情がある場合には5年(60回払い)が認められるという条文の建付けとなっています。

この点、お客様から「それならぜひ5年でお願いします!」と言われることがあるのですが、必ずしも5年の長期分割が認められるわけではありません。上にも見ましたように、「特別の事情」が認められないことには、裁判所は60回での返済計画を認めてくれません。

例えば、返済予定中にお子さんの進学が控えていて、これに幾らの費用がかかる等具体的な理由を疎明しなければなりません。ただ漫然と3年では家計的に苦しいので5年でお願いしますというだけでは、裁判所は支払期間の延長を認めてくれません。

もっとも、申立にあたっては、2か月分の家計収支表を裁判所に提出することになっていますが、この家計収支表の平均額等から、今後の家計がどのような状況となるかを予測する「予想家計収支表」という書類も併せて提出します。この予想家計収支表を裁判所が見て、「たしかにこの家計では36回は厳しいな」と分かってくれた場合には、延長が認められる場合があるでしょう。当初3年の計画で申し立てていたところ、同予想家計収支を見た裁判所の方から「4年でなくて大丈夫ですか」などと言われることもあります。もちろん、家計収支の中で浪費が認められる場合などは、それを解消すれば延長は必要ないだろうという話となります。あくまでも緊縮財政を敷いた前提で、依然として36回払いが現実に困難である状況でなければ、上記「特別な事情」ありとは認められないということです。

債務整理には、個人再生以外にも、自己破産や任意整理といった手法もあります。借金問題でお困りの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

【個人再生】オーバーローン【住宅特則】

【個人再生】オーバーローン【住宅特則】

住宅特則付個人再生手続を行う際、不動産の価値を算定する必要が生じます。

まずは、お手元に固定資産評価証明書をご用意ください。なければ、毎年4月中旬頃に届く納税通知書でも結構です。そこに評価額が載っています。

その評価額を1.5倍にした金額と、住宅ローンの残債を比べましょう。1.5を掛けるのは、固定資産評価額が時価よりも低く設定されていることが多いことから、その調整です。

そして、1.5倍にした金額が住宅ローン残債よりも小さい場合にはオーバーローン、逆の場合はアンダーローンとなります。

この手法でオーバーローンでないこととなった場合には、不動産会社から時価の査定を取得して裁判所に提出することとなります(2社から取得してその平均額を申請します。)。不動産会社の指定はありませんが、あまりにも信ぴょう性が低いような査定書だとすると、取り直せということになってしまいますので注意が必要です。また、ネット等で何も言わずに査定の申請をすると、高額の査定が出されることが通常ですので、この点も注意が必要です。オーバーローンとなるためには、低い査定額の方が、お客様にとって都合がよいということになるからです。

地元の不動産会社で1件、大手の不動産会社で1件というのがバランスがよいかと思いますが、お困りの場合には、当事務所の方で不動産会社をご紹介することも可能です。

債務整理には、個人再生以外にも、自己破産や任意整理といった手続もございます。お悩みの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

【自己破産】免責不許可事由(FX)

【自己破産】免責不許可事由(FX)

FX投資で多額の借金を抱えたとしてご相談に来られる方は珍しくありません。FX取引は射幸行為(利益を得られるかどうかが不確実な行為のことです。)ですので、ギャンブルと同じように考えられます。つまり、免責不許可事由に該当することになるのですが、その場合自己破産を申立てても、免責決定は得られないのでしょうか?

結論としては、得られる場合もあります。

免責不許可事由があったとしても、他の様々な事情を考慮の上、申立人が反省しており、裁判所の手続に誠実に協力し、かつ経済的再起更生が認められると判断された場合には、裁量免責を得ることが可能です。実際に当事務所では、FXをしていた方でもあっても、無事に免責決定を得られたケースが多数ございます。

ただし、借金の100%がFXで抱えた債務だというような場合には、免責を得るのはなかなか困難だと思われます。申立をした段階で、裁判所より「個人再生は考えないんですか」と暗に取下げを示唆するような連絡が来ることが想像できます。その場合には、個人再生や任意整理を検討する必要があるでしょう。

また、経済的再起更生の点についてですが、「現在無職ですが、FX取引で生計を立てる自信があります」などとおっしゃる強者も実際いらっしゃいます。ダメです。自己破産や個人再生を利用するのであれば、FXはきっぱりと辞めていただく必要があります。なお、任意整理の場合も、債権者から収入源を聞かれますので、その際に「FXです」と回答するわけにはいきません。

ところで、FXの額がさほど大きくない場合、管財事件ではなく同時廃止で手続が進行したケースも複数ございます。そのような折は、もしかすると裁判所はFXにつき、他のギャンブル(競馬、競艇、パチスロ、ネットカジノ等々)と比較して悪質性を小さく評価する傾向があるのかもしれないと考えさせられたことがありますが、サンプルが少ないので何ともいえません。ケースバイケースなのでしょう。

ちなみに、弁護士に相談するまで、FXの口座は解約せずに残しておいてください。管財人より取引履歴等を提出するよう指示を受けることがあるのですが、解約した場合ログインできなくなり、履歴の取得に支障が生じる場合があるからです。

債務問題でお困りの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

「国が認めた借金救済制度」とは?

「国が認めた借金救済制度」とは?

借金問題でお困りの方は、あらかじめご自身で債務整理につき色々と情報を収集されることと思われますが、ネットで検索すると、「国が認めた借金救済制度」だとか「国が認めた借金減額制度」などといった表記が目に付きます。SNSなどでも広告が出現します。これは一体何なんでしょうか?

実は、私も初めてこのような表記を目にしたとき、「一体、本当にそのようなものが存在するのか?」と驚いた記憶があります。

が、ふたを開けてみると、何てことはありません。単なる債務整理のことを言っているだけです。すなわち、自己破産、個人再生、任意整理、時効援用、過払金返還、特定調停などの通常の手続を差して、「国が認めた借金救済制度」などと称しているだけのようです。もしそうでないのであれば、詳しく教えてほしいところです。

たしかに上記自己破産等は法律に規定されており、裁判所を利用する手続ですので、「国が認めた」といっても嘘ではないのかもしれません。少なくとも国はその存在を否定していません。しかし、あたかも以前には存在しなかった「救済制度」を国が新たに認めたとの誤認を生みそうな表記です。また、任意整理に関しては裁判をせずに弁護士が債権者と交渉する手続ですので、「国が認めた」という表現は適当ではないと思われます。宣伝文句に過ぎないといえばそうなのでしょうが、あまり品がよいとは個人的には思えません。過払金のCMもうんざりですね。

債務問題につきお悩みの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

給与所得者等再生手続とは

給与所得者等再生手続とは

個人再生手続につき調べていくと、どうやら「小規模個人再生手続」と「給与所得者等再生手続」の二つがあるらしいとお思いの方もいらっしゃるでしょう。一体この二つは、何が違うのでしょうか。以下ご説明します。

通常の債務整理で広く利用されるのは、小規模個人再生手続です。これは住宅等の財産を残したまま、債務を大幅に減額し、減額後の金額を3年乃至5年で支払って最後までゴールできれば、残りの借金は帳消しになるという手続ですね。

しかしこの小規模個人再生手続、債権者の反対があると途中で終わってしまう場合があるのです。具体的に言いますと、頭数で過半数の債権者あるいは債権額の過半数を有する債権者が同意しない場合、再生計画案が認可されずに手続は終了となってしまいます。失敗、ということです。

では残された手段は自己破産しかないのかというと、必ずしもそうではありません。そのような場合に検討の対象となるのが、給与所得者等再生手続なのです。

給与所得者等再生手続も、小規模個人再生手続と同様に、借金を減額してそれを3年乃至5年で返済していく法的手続です。ただし、この給与所得者等再生手続の場合は、債権者がいくら反対しようが、そのことによって手続が途中で終わるということはないのです。極論すれば、全ての債権者が反対したとしても構いません。

ここまで読んで、「ならば、最初からその給与所得者等で申立をすればよいではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、小規模を利用する理由があるのです。

すなわち、給与所得者等を利用する場合には、別途、「可処分所得」というものを計算しなければならず、この可処分所得は、債務を5分の1乃至10分の1にした金額や清算価値よりも高額となる場合が多いのです。ですので、債権者が反対するかどうかわからないという場合には、とりあえず小規模で申立をしてみるというのがセオリーとなります(家計次第ですが、可処分所得がさほど高額とならない場合には、最初から給与所得者等で申立をする場合もあります。)。

ちなみに、その名のとおり、給与所得者等再生手続は、給与所得者等しか利用ができません。自営業者のように収入に波がある方は利用できません(年金受給者の方も、収入が安定していると認められる場合には利用できる場合があります。)。

このように、大口の債権者がいて、どうも反対してきそうだという場合に、給与所得者等再生手続の出番が出てくるというわけです。

それでは、実際に再生計画案に反対してくる債権者がいるのかというと・・・そこそこいます。個人の債権者がいる場合には、そのキャラクターによるとしか言えませんので動向は読めませんが、楽天カードあたりは過去に反対してきたケースが現にあります。住宅特則付の場合など、自己破産ができないとわかっている場合などは、給与所得者等で出し直させた方が最終的な弁済額の上昇が見込まれることから、債権者にとっても反対するメリットはあるのでしょう。ある意味、勤勉な債権者とも評価できます。一方、債務者としても、任意整理で全額を支払うよりかは、可処分所得ベースを支払う方が有利であることから、多少弁済期間を延ばしたとしても、最終的に給与所得者等を利用する方がメリットがある場合がほとんどでしょう。

借金問題でお困りの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)