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公務員の破産

公務員の破産

公務員の方から借金問題のご相談を受けることが、結構な頻度であります。公務員とはいえ民間人と何ら変わらず、日常的にクレジットカードを利用しますし、住宅ローンを組みますし、奨学金を借りていた方もいるでしょうし、また消費者金融から借入も行いますので、何らおかしな話ではありません。

ただ、公務員の方に特有の事情があるようですね。すなわち、皆様官報に掲載されることを強く懸念される傾向があるようです。自己破産の場合には2回、個人再生の場合には3回掲載されますが、職場によってはこれをチェックしている部署があるというお話も伺ったことがあります。

さて、自己破産を申立てたという事実は、何ら公務員の欠格事由にあたりませんので、これをもって免職となることは法律上ありません。

しかし皆様、破産だけはどうしても避けたいようで、個人再生を選択される方がほとんどです(あるいは、可能であるならば任意整理。)。自己破産をすることが出世に響いたり後々の異動に繋がったり、あるいは職場にいづらくなるのか、様々なご事情があるのでしょうが、とにかく公務員の方は破産を回避する傾向が強いですね。実際に、自己都合退職してから自己破産手続をとられたご依頼者もいらっしゃいました。私は公務員の経験がありませんので、このあたりの心理はなかなかに謎です。

いずれにせよ、自己破産が事実上無理であるならば、個人再生や任意整理を検討することになります。その場合、公務員の方々に気をつけていただきたいのが、共済です。共済組合からの借入をしている方が非常に多いです。

公務員の場合は共済が緩い審査でポンポン貸してくれるから、「何とかなるだろう」と思って債務が増大するのではないかと私なんかは思うのですが、とにかく共済からの借入をしている方がかなりの確率でいらっしゃいます。

この共済も債権者ですので、自己破産や個人再生を利用する場合には、弁護士から受任通知を送らなければなりません。そして、共済への返済は通常、給与からの天引きで行われているところ、弁護士介入後は共済に返済してはいけませんので(偏頗弁済となります。)この天引きを止めるように手配をしてもらう必要が生じます。ですので、その流れで結局職場に債務整理を行うことが知られてしまうということになります。これを避けるためには、共済を除外して、それ以外の債務を任意整理で片づけることができるかを検討することになります。

当事務所では、市役所・区役所の職員、警察官、消防士、市バス運転手、学校教員など、現業・非現業に関わらず、公務員の方々の債務整理をお手伝いした実績が多々ございます。

公務員で借金問題にお悩みの方も、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

【個人再生】清算価値とは

【個人再生】清算価値とは

自己破産に抵抗がある、あるいは諸々の事情から破産ができない、かといって任意整理では弁済が現実問題として不可能だという方は、個人再生手続に興味をお持ちかと思われます。

そして、個人再生を利用した場合に、結局のところ今後幾ら支払えば、この借金問題から解放されるのかと思い、ネットなどで検索すると、「清算価値」という法律用語に出くわすことと思われます。本トピックでは、この清算価値(せいさんかち)についてご説明しましょう。

平たく言いますと、清算価値とは、申立人が保有している財産のことです。仮に申立人が自己破産をする場合には、手放すこととなる財産の額と言い換えることもできるでしょう。

そして、個人再生手続においては、「清算価値保障原則」というものがあります。なんだか難しそうですが、これはどういうことかと言いますと、個人再生をした場合には、少なくとも清算価値以上の金額は支払わなければならないという原則のことです。

一般に、個人再生手続は借金が原則5分の1まで減る(借金の額によっては10分の1。また、最低額は100万円です。)という説明は既にチェックされていますでしょうか。その5分の1になった金額よりも、清算価値の方が多い場合、その清算価値の金額が基準となって、当該金額を、3年乃至5年で返済していくということになります。

ですので、申立にあたっては、裁判所に対して財産目録を提出し、申立人の清算価値がいくらなのかを申述する必要があります。

実務では、清算価値算出シートというものに埋めていく方法で、申立人の清算価値を計上することとなるのですが、参考までにその内訳をご紹介しておきましょう。ご自身の清算価値を算出するための参考になさってください。

 1 現金(99万円を控除した額)

 2 預貯金(相殺等により控除後の残高)

 3 保険解約返戻金(相殺される額等を控除した残額)

 4 積立金等(積立金等を担保とした貸付金がある場合は、その金額を控除した残額)

 5 賃借保証金・敷金(敷金は返戻金から60万円を控除した残額)

 6 貸付金・求償金等(回収見込額)

 7 売掛金等(回収見込額)

 8 退職金(見込額の8分の1)

 9 不動産(不動産の時価から5%の金額を控除し、そこから被担保債権残額を控除した残額)

10 自動車等(所有権留保がされている場合は、時価からローン残額を控除した額)

11 その他動産(時価が20万円以上のもの)

12 その他の債権(過払金については回収額あるいは回収予定額)

13 その他(株券、会員権等20万円以上の価値があるもの等)

これらが清算価値として通常列挙される内容となります。逆に言えば、これらについての資料の提出が要求されるということになりますね。なお、偏頗弁済をした場合などは、これを13のその他として計上しなければならないこととなるケースがありますのでご注意ください。

借金問題でお悩みの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

【自己破産】会社にバレないでしょうか…?【個人再生】

【自己破産】会社にバレないでしょうか…?【個人再生】

借金問題で自己破産や個人再生のご相談を受ける際、「会社にバレないでしょうか…?」というご質問をいただくことが多いです。任意整理の場合はともかく、裁判所を使う自己破産や個人再生の手続きの場合には、どこからか会社に、自身がそのような手続きをしているという情報が届いてしまうのではないかと心配されるお気持ちはよくわかります。この点につきご説明しましょう。

まず、会社からの借入がない場合には、原則会社に知られることはありません。弁護士から会社に通知を送ることも、裁判所から会社に連絡がいくこともありません。ただし、会社からの借入がある場合には、会社も債権者となってしまいますので、弁護士から介入通知を送らなければなりません。会社から借りているのにも関わらず、これを隠して手続きを行うことはできません。また、会社にだけ返済をして債務を無くしてしまうこともお勧めしません。これは偏頗弁済といって、債権者平等原則に反する不公平な返済となりますので、裁判所によりペナルティが課されます。確信犯的にそのようなことをした場合、免責が得られない可能性もあります。なお、会社から継続的に「前借り」をして生活をされている方がいらっしゃいます。この前借りは、毎月のお給料から引かれる形で返済しているわけですが、これも借入に当たり、また偏頗弁済に該当しうるので注意が必要です。

次に、自己破産や個人再生を申し立てる際には、退職金の額を証明する資料を裁判所に提出しなければならない場合があります。その際、会社に正直に打ち明けて退職金証明書を発行してもらえれば話は早いのですが、なかなか言い出せない方もいらっしゃいます。そのような場合には、退職金規定等から独自に算定ができればそれで解決する場合もあるのですが、それが不可能であれば、やはり会社に対して説明が必要となるでしょう。もっとも、「住宅ローンを組む際に銀行に提出する必要があるので」などとうまく言って退職金証明書を取得される強者もいらっしゃいます。たしかに、様式は問いませんので、裁判所宛てでなくても問題はありません。

また、珍しい会社への「バレ方」としては、金融機関へお給料が振込できないことから発覚するといったケースもあります。どういうことかと言いますと、住宅特則付きの個人再生事件において、給与の振込先口座と、住宅ローン及びその他の借入等の引落口座が同一の場合、各金融機関によって取り扱いが区々(まちまち)なのです。大手の金融機関なら問題がないケースが多いのですが、地銀や信金などでは、住宅ローンとその他の返済をすぐに別口座に分けてくれず、かつ、弁護士からの受任通知が届いた後の会社からの給与の振込をはねてしまい、口座への入金がなされないといったことがあります。とすると、会社としては、「給与が振込できずに返ってきたぞ、これはどういうことか」ということになり、申立人は「実は…」と白状せねばならない事態に陥る可能性があるということです。当事務所で過去に実際にありました。

そして、これは法的手続のみに限った話ではないのですが、支払を遅滞しており、債権者より訴訟を提起された場合ですね。判決を取られ、その後は強制執行を受ける段階となりますが、債権者により給与債権を差し押さえられた場合には、もちろん会社に知られてしまいます。ですので、訴訟を起こされる前に、できるだけ早期に弁護士に相談されることをお勧めいたします。

最後に、官報です。自己破産の場合には2回、個人再生の場合には3回官報に掲載されますが、これを会社の誰かが見ていたら、知られてしまいます。とはいえ、官報を日常的にチェックしている方はそうはいませんので、このことを怖れて法的手続を断念するというのはナンセンスであると考えます(もっとも、公務員の方々はやはりこの点を不安視して、自己破産ではなく個人再生を選択される方が多いですね。)。

このように、会社が債権者でないとしても、いくつかのルートで会社の知るところとなってしまう場合があります。より詳細にお知りになりたいという方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

解雇された場合(されそうな場合)に気を付けるべきポイント

解雇された場合(されそうな場合)に気を付けるべきポイント

1 はじめに

 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効となります(労働契約法16条)。つまり、会社は、簡単に労働者を解雇できるわけではなく、不当解雇である可能性も考えられます。

 ただし、解雇された後の対応次第では、不当解雇を主張することが難しくなることもあります。そこで、本コラムでは、解雇された場合(されそうな場合)に気を付けるべきポイントについてご説明します。

2 解雇理由証明書を取得する

⑴ 解雇理由証明書とは?

 労働基準法22条1項では、

 「労働者が、・・・退職の事由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。」

と規定しています。

 つまり、会社は、どのような理由で解雇をしたのかを書面で明らかにする義務があります。この書面を解雇理由証明書といいます。

  解雇理由証明書は、解雇後だけでなく、解雇予告された日から退職日までの間にも請求することができます(労基法22条2項)。

⑵ なぜ解雇理由証明書が必要なのか?

・会社が解雇を通知したことを明らかにする

 会社が口頭で解雇を伝えていた事案では、弁護士が介入すると、「解雇をしていない(労働者が勝手に休んでいる)」「合意解約である」などの反論をしてくることがあります。したがって、会社が解雇を通知したことを明らかにする必要があります。

・解雇理由を明らかにする

 解雇事案では、会社が主張する解雇理由が違法であるとの主張をします。したがって、不当解雇であるかを検討するための前提として、会社が主張する解雇理由を明らかにする必要があります。

⑶ 解雇理由証明書の交付を求めるタイミング

 弁護士に相談する前に解雇理由証明書を取得することをお勧めしています。

 労働者本人が解雇理由証明書を請求した場合、会社は、無警戒であるためか、適当に作成した解雇理由証明書を労働者に交付するケースが多く見受けられます。たとえば、「成績不良」など抽象的な理由しか記載されていないケースや、事実無根の理由(無断欠勤など)が記載されているケースもありました。このような場合、具体的な解雇理由が示されていないこと、解雇理由に該当する事実が存在しないことなどを主張することで、不当解雇が認められる可能性があります。

 一方で、弁護士が労働者の代理人として解雇理由証明書を請求した場合、多くの会社では、顧問弁護士などに相談し、解雇が適法となるような理由を練り上げて主張してくる可能性があります。

 そのため、まずは労働者本人から解雇理由証明書を請求することをお勧めしています。

3 就労意思を伝える

⑴ 合意解約の主張をさせないため

 不当解雇の事案では、会社側から、「労働者も雇用関係を終了させることに合意している」、つまり合意解約が成立しているから解雇ではないと主張される可能性があります。そのため、解雇を通知された場合、労働者は、①解雇が無効であること、②会社で就労する意思があることを会社に伝えることで、合意解約の主張を阻む必要があります。

⑵ 賃金請求(バックペイ)

 労働者は、会社に対し、不当解雇されたため仕事ができなかった期間の賃金の支払い(バックペイ)を請求することができます。ただし、バックペイを請求するためには、労働者が、引き続き会社で就労する意思があることが必要となります。

4 退職を前提とした行動をとらない

⑴ 退職金、解雇予告手当を請求しない

 労働者自身が会社に対して退職金や解雇予告手当を請求することは、解雇無効を主張することと矛盾した行動と評価される可能性があります。この場合、合意解約が成立しているとの主張がされたり、バックペイが請求できなくなったりするリスクがありますので、注意が必要です。

→ もし、請求してしまっている場合

 速やかに、会社に対して解雇を争う意思を明確にするなどの対応が必要です。さらに、状況を詳しく検討する必要がありますので、速やかに弁護士にご相談されることをお勧めします。

→ もし、会社が一方的に退職金を口座に振込んだ場合

 退職金や解雇予告手当として取り扱うことはできないこと、解雇後に発生する賃金(バックペイ)として充当することを会社に伝える必要があります。

⑵ 書類にサインしない

 会社から、「退職合意書」や退職手続きに関する書類にサインするよう求められる可能性があります。しかし、会社が求める書類にはサインするべきではありません。サインしてしまうと、合意解約が成立しているとして不当解雇の主張が難しくなる可能性があります。

 会社が強引にサインを求めてきたとしても、その場ではサインをせず、一旦持ち帰って弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

5 おわりに

 不当解雇事案では、専門的な知識が必要となり、適切な対応が求められます。 お困りの方は、お気軽に弁護士にご相談ください。

(弁護士 山本 祥大)

破産や個人再生の手続中にETCカードを利用できるか

破産や個人再生の手続中にETCカードを利用できるか

表題の件についてご説明します。

自己破産や個人再生で弁護士に依頼した後は、新たに借金をしてはいけません(なお、任意整理の場合は別です。)。

ETCカードも後払いとなりますので、これは借金にあたります。ですので、申立人名義のクレジットカード付帯のETCはご利用いただけません。もし利用を続けていると、いつまでも債権額が確定しませんし、請求に応じて支払うと、偏頗弁済として免責不許可事由となってしまいます。そうなると、自己破産の場合には管財事件に移行する確率が高まりますし、個人再生の場合は清算価値に上乗せするよう裁判所から指示がなされ、最終的な弁済金額が高くなってしまうおそれがあります。

では、配偶者のETCカードを利用すれば問題ないのでしょうか。

これはケースバイケースです。利用金額が大きく、配偶者の給与手取り額を超過するような態様だとすると、実質申立人の収入で返済しているのと同視され、偏頗弁済と認定されるおそれがあります。

この点に関しては、ETCに限った話ではなく、配偶者名義の自動車のローンの返済を実質申立人が出捐しているのではないかとして破産管財人が選任されたケースもありました。紛らわしいことは控えた方が安全です。

しかし、ETCは使えないと不便ですし、お仕事等で日常的に有料道路を利用する方ならば猶更です。

そこで、デポジット式のETCというものがあるようです。あらかじめ一定の金額をチャージしておき、デビットカードのように、利用すると同時に引き去りがなされる仕様で、借入にはあたりませんので、どうしてもETCを利用されたいお客様は皆様これを使われているようですね。

借金問題でお困りの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

債務整理で退職金の額が問題となる場合

債務整理で退職金の額が問題となる場合

正社員で5年以上お勤めの方は、裁判所に自己破産や個人再生を申し立てる際に、今現在の時点で仮に退職したら(自己都合退職です。)幾ら退職金が支給されるのかという資料を提出する必要があります。実際に退職する必要はありません。自己破産の場合には、管財事件への振り分けの判断資料として必要ですし、個人再生の場合には、清算価値を把握する目的で必要となります。なお、任意整理の場合には、裁判所を使う手続きではありませんので、これら資料は必要ありません。

さて、どのような資料を用意すればいいのでしょうか。最も明確なのは、会社が退職金額証明書(様式は問いません。)を発行してくれた場合、これを提出すれば、通常、裁判所は何も言わないでしょう。ただし、きちんと社印の押してあるものが必要です。

しかし会社に言い出しにくい場合(「なぜそのようなものがいるのか」と聞かれて返答に窮してしまう方は結構いらっしゃいます。)には、職場備え付けの退職金規定のコピーを取得し、これに自身の係数等をかけ合わせる等して自分で退職金額がきちんと算定できるのであれば、これで代わりとすることができる場合もあります。

あるいは、経理の方にメールで問い合わせをして、これに同人よりメールで返信を受ける形で、当該メールをプリントアウトして裁判所に提出し、無事に認められたケースもあります。そのような方法で裁判所が認めてくれるか否かは、内容の信ぴょう性次第となります。

また、中退共や確定拠出年金を退職金代わりに採用している企業もあります。これらは、法律上、差押禁止債権とされており、本来的自由財産となりますので、申立人の財産として計上する必要はありません。ただし、勤め先がこれら制度を利用しているということを疎明する資料の提出が必要となります。退職金規定内にその旨の規定があるのであれば、同規定を提出することでクリアできるでしょう。

そして、退職金の算定方法ですが、原則8分の1で考えます。なぜ8分の1かというと、退職金請求権のうち、差押可能な範囲が4分の1で、また、退職するまでの間に会社が倒産したり申立人が懲戒解雇されたりするなど不確定な要素がありますので、これを2分の1と考え、1/4×1/2=1/8という計算になるというわけです。ですので、定年退職までに間がないといった場合には、8分の1ではなく4分の1で計上せよと言われる可能性が高まりますし、実際に退職金を受領してしまった場合には、当該金員は通常の預金債権や現金に姿を変え、その全額を財産として計上しなくてはならなくなります。

借金問題でお悩みの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

二度目の破産

二度目の破産

破産は何度でもできるのでしょうか。条文上は、前回の破産から7年が経過すると(正確には、免責許可決定の確定日から7年です。破産法252条1項10号イ参照。)、裁判所は免責許可の決定を行うことができるようにも読めます。

しかし、実際にはそう簡単な話ではありません。やはり二度目の破産となると、裁判所の審理は非常~に厳しくなります。

自己破産は、法律の規定に基づき、債権者に貸付金等の回収を諦めてもらう手続きですので、その免責の効果を受けることができるのは、誠実な債務者のみに限られます。そして、一度目の破産の際に、申立代理人弁護士又は裁判所(破産管財人)から、二度と債務を増加させないように注意を受けているにも関わらず、再度借金まみれになってしまったということですと、やはり反省していない=誠実な債務者ではないという目で見られてしまうのです。

ですので、たとえ7年が経過していようが、この度の借金の借入理由が前回と同じ内容だとすると(特に、前回も今回もギャンブルという場合。)、免責は極めて難しくなります。また、借入理由が異なる場合でも(例えば、前回が他人の保証債務、今回が失業という場合。)、やはり二回目ということで、裁判所が破産管財人を選任する可能性は高く、複雑で負担の大きい手続きを余儀なくされることが想定されます。

そのような場合には、自己破産ではなく、個人再生や任意整理の可否を検討することとなります。

しかし当事務所では、実際に二度目の破産を申立て無事免責に至った方も少なくありません。前回の破産と借入内容が大きく異なり、またこの度の負債の増加につき情状の余地が大きく、かつ、一度目の破産との間にかなりの期間が存在し、実質的に見て一度目の破産と切り離して考慮することが可能といった案件の場合です。

過去に自己破産をしたことがあり、現在、再度借金問題で頭を悩ませている方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

法人破産をご検討の経営者様

法人破産をご検討の経営者様

法人破産のご依頼が増えています。

特に、当事務所では最近、飲食業をご経営の方々からのご相談が多いといった印象です。コロナ融資後、資金繰りに窮するといったケースが多く見られます。

さて、法人が金融機関等から借入をする際に、代表者も経営者保証をしていることが通常ですので、多くの場合は、法人と私人(代表者個人のことです。)の二つの事件を同時に申し立てるということになります。もし個人保証がないという事案でしたら、代表者は自己破産ではなく、個人再生や任意整理を利用することも考えられますが、あまり見ないケースです。

法人破産の場合には必ず破産管財人が選任されますので、管財費用が必要となります。この管財事件の予納金ですが、神戸地裁においては、通常の場合20万円程度なのですが、法人と個人の二つの事件であれば20×2=40万円かと思いきや、同時に申立をする場合には、通常の20万円(法人分)と、もう1件は1万円(個人分)で済みます(あくまでも神戸地裁のお話です。)。この場合、同じ弁護士が管財人となり、対応されます。

法人破産においては、金融機関からの借入のみならず、取引先の買掛金債務などもありますので、個人の破産に比べて対応が極めて複雑になります。強引な取立てが予想される場合もありますし、かといってこれを支払ってしまうと、偏頗弁済となってしまいます。また、従業員がいる場合には給与債権に対する対応といった問題も生じます。

更には、会社保有財産がある場合に、これらの処分といった事項も、難しい問題です。賃借物件がある場合には、これを速やかに解除・明渡の上、返還された保証金は散逸しないようにきちんと保管する必要があります。賃貸借契約の解除までを破産管財人に任せてしまうと、上に見た管財費用が跳ね上がってしまうおそれがあります。また、在庫や機器・什器、車両といった財産に関しても、きちんとした査定を複数取った上で売却するのか、あるいは処分せずに管財人にそのまま引き渡すのかといった判断も必要となります。引き渡す場合には、それまでの間の保管場所(車両の場合には駐車場)に係る賃料が発生してしまうという点も考慮に入れなければなりません。

上記のような問題もあることから、法人破産の場合には、どのようなタイムスケジュールで手続きに着手するかといった点が重要となります。そして、着手した後には、とりわけ迅速な手続きが要請されます。

会社経営に行き詰ってお悩みのお客様は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。

(弁護士 中川内 峰幸)

【自己破産】家族に迷惑がかかる場合とは

【自己破産】家族に迷惑がかかる場合とは

自己破産のご相談をお受けする際、よく「家族に迷惑がかからないでしょうか…」といったご質問をいただきます。ご不安に思われるお気持ちはよくわかります。本コラムでは、この点につきご説明しましょう。

何をもって「迷惑」と考えるかにもよりますが、まずご家族と同居の場合、家計収支や居住証明の作成に協力してもらう場合がありますので、その手間を迷惑だというのであれば、迷惑かもしれません。また、ご家族の住民票や所得証明等も必要となりますが、これはご依頼者が単独で取れますので、ご家族にとってご負担はないでしょう。

では、より深刻なケースをご説明しましょう。ご依頼者が不動産をお持ちで、その共有者にご家族が名を連ねていらっしゃる場合、当該不動産を処分する必要が生じます。あらかじめ任意売却をせずに申立を行った場合、破産管財人が申立人の持分を処分することになりますが、共有者がいる物件の購入を希望する買い手はなかなか見つかりませんので、通常は共有者であるご家族に買取を打診することになります。実勢価格よりも安価な金額で合意に至ることも多いかと思いますが、ご家族に現実の出捐が要請されますので、これは迷惑がかかると言えるでしょう。

また、時々あるのですが、ご主人(申立人)が大きな金額を奥様の口座に移しているケースがあります。賞与であることが多いですね。これは財産隠しではないかということで、破産管財人より奥様に対して返還請求がなされる可能性があります。奥様は当該ボーナスを種々の支払いに充てることを予定して家計を管理していたのでしょうから、突然破産管財人よりそれを返せと言われても寝耳に水です。夫婦仲が決裂するケースも少なくありません。

あるいは、自由財産の範囲内に収まらない金額のご主人名義で積み立てている学資保険の帰趨なども、ご家族にとって深刻な問題となりえます。

同様に、成人しているお子さんの生活費や高額な学費等を申立人が負担している場合も、破産管財人よりお子さんに対して返還請求がなされることがあります。

また、これは自己破産に限った話ではありませんが、ご家族が保証人になっている場合、当該債務につき整理をすると、債権者よりご家族に対して一括請求がなされます。

以上のような場合、ご家族に迷惑がかかる可能性があると言えるでしょう。

それを避けるためには、自己破産ではなく、個人再生や任意整理を検討することになります(上の保証債務のケースでは任意整理ですね。)。

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(弁護士 中川内 峰幸)

地銀にM&A仲介の能力があるのか

地銀にM&A仲介の能力があるのか

いささか過激な見出しとなってしまいました。趣旨は次のとおりです。

時事通信の記事を目にしました。以下引用ですが、「金融庁は27日、金融機関に対し顧客企業のM&A(合併・買収)支援に積極的に取り組むことを求める監督指針の改正案を示した。地銀などを念頭に、金融機関がコンサルティング機能を発揮し、後継者不足に悩む中小企業のM&Aを後押しすることを狙う。意見公募を経て今秋にも正式決定する。」とのことです。日経でも同旨の記事があったかと思います。

地銀が日常的に地元中小企業の経営問題に接していることから適任だとの発想だとすると、これは安直だと言わざるを得ないと考えます。

過去に私が携わったM&Aトラブルの訴訟において、とある地銀が仲介をしていた案件がありました。内容はご紹介できませんが、実に杜撰な業務を行っており、同地銀がきちんとアドバイザリー契約の責務を果たしていたならば、そもそもこのような紛争は発生しなかったのではないかと思われる事案でした。実際、同地銀に対して事実の照会をかけたのですが、保身に走る回答しか出てきませんでした。無責任極まりないと思われる対応でした。この事件では、同地銀の仲介によるM&Aにより、実際に一つの企業が経営不振となり、売主も買主も双方が極めて不幸な状況となったのですが、その地銀だけはきっちりと報酬を得て、独り勝ちの状況でした。猫も杓子もM&A仲介に手を出すようになり始めた頃の話で、多くの地銀が即席のM&A担当部署を設置した時期でした。その担当した行員に、M&Aの詳しい知識があったとは到底思えませんでした。

公知のとおり、M&A仲介には何らの資格も不要ですので、実際、既に多くの地銀が新規分野への進出を目してM&A仲介市場に参入しておりますが、果たして専門的な知識が担保されているのでしょうか? また、人的資源の問題(優秀な人材は、より高給が期待できる既存のM&A仲介会社へ流れるのではないかという懸念です。)もありますが、そもそも転勤の多い銀行員が案件に携わることによって、事後的に責任の所在が不明瞭になることへの不安も生じます。そして、仮に地銀がM&Aに携わるとしても、別に仲介を推奨しなければならない理由はないのですから、メガバンクのようにFAに徹することも、検討に値するのではないかと思われます。

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(弁護士 中川内 峰幸)